自分の本質に気づく感動
自分のことを知っているようで、本人だからこそわからないことは多い。なぜなら思い込みが邪魔をして、新しい経験を拒むことになりやすいから。
ボクは20代のころ、自分のことを『片づけられない』人間だと思っていた。物を捨てたり、掃除をマメにする人種ではないと思い込んでいた。そしてそのことを象徴するかのような部屋で暮らしていた。
だけど妻の影響を受けて掃除を始めるようになって、実は自分が掃除好きだと知った。きちんと整理して片づけることに、言葉にできない満足感を覚える。人生の後半になって、ようやく自分の本質に気づいた。もしかしたら妻よりも、いまのボクのほうが掃除オタクかもしれないwww
いままで知らなかった自分の本質に気づくというのは、小説や映画のテーマとして使われることが多い。そしてそれらの多くは感動を伴う。なぜなら自分の本質に気づくということは、人間に与えられた究極の課題だから。人間の本質を突き詰めていけば、解脱や悟りという境地に達するから。
バカ笑いするコメディで、現実にはあり得ない設定の映画を観た。だけどこの映画のテーマは、自分の本質を知るということ。だから笑いながらも、ボクは胸が熱くなってしまった。とてもお得感のある作品だった。
2022年 映画#44
『オーバーボード』(原題:Overboard)という2018年のアメリカ映画。1987年に公開された『潮風のいたずら』という、若いころの愛らしいゴールデン・ホーン(美容整形前の)が主演した作品のリメイクらしい。でも主人公の男女が入れ替えてあり、設定もかなり原題風にアレンジされている。
主演はアンナ・ファリスという女優さんで、若いころのゴールデン・ホーンによく似ている。彼女が演じるのは3人の娘を一人で育てるケイト。看護師試験を目指していて、複数の仕事をしながら必死になって勉強していた。
ある日ケイトは掃除の仕事で大富豪のクルーズ船に乗った。所有者はレオナルドという男性で、仕事もせずに毎日美女を集めて遊び暮らしている。ちょっとした言い合いからケイトは海に突き落とされ、掃除の道具を弁償することに。それで貯金を使い尽くし、家賃も払えない状況になった。
その翌日、記憶喪失の男性が見つかる。それはクルーズ船から落ちたレオナルドだった。父親の事業継承をめぐって、妹は兄を排除したい。そこで記憶喪失になったレオナルドを死んだことにした。その事実を知ったケイトは、レオナルドに復讐を仕掛ける。
友人に頼んで書類を偽造。夫婦だとして病院から引き取り、レオナルドを働かせる。仕事はキツい建築現場。それで家賃を稼がせて、ケイトはその期間の間に勉強するつもりだった。3人の娘も母の復讐に協力する。
やがて記憶喪失のレオナルドは自分の本質に気づく。汗をかいて働くことの喜び。友人たちとのふれあい。そして愛する娘たちとの生活。それまでのセレブ生活では得られなかったものを積み上げていく。
もちろん結果は予想どおり。記憶を取り戻して一度はケイトの元を離れるけれど、彼女を愛していたし、娘たちに会いたい。そして3人の娘も嘘を忘れて、レオナルドを本当の父親のように慕っていた。映画のパターンはちがうけれど、ボクはニコラス・ケイジが主演した『天使のくれた時間』を思い出した。
ということだ莫大な財産を捨てて、レオナルドはケイトたちの元へ戻るというラスト。だけどこの一家には、最後にサプライズが用意されていたというエンディング。大笑いしながらも、レオナルドが自分の本質に気づく過程に感動した。そして3人の娘たちが愛らしくて、最高にハートウォーミングな作品だった
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