サウロンの致命的なミス
ついこの前に元旦を祝ったと思ったのに、1月も残すところ10日あまり。年末年始の読書駅伝の達成に黄色信号が灯りそうなので、かなりピッチをあげている。昨日読了した本で、残すところ4冊。図書館への返却期限は延長できると思うけれど、とにかく期限の2月2日までにアンカーへタスキを渡すつもりで読み進めている。
『シルマリルの物語』、『ホビット ゆきてかえりし物語』と読み進み、最後の『指輪物語』もついに映画の2作目のところまでやってきた。
2023年 読書#8
『新版 指輪物語5 二つの塔 上1』J・R・R・トールキン著という小説。前作についての感想は『映画にして欲しかった画面』という記事に書いているので参照を。
3部作だった『ロード・オブ・ザ・リング』の第1弾が前作まで。この作品から映画の第2弾に当たる『二つの塔』に入る。前回のブログでも書いたように、映画ではラストシーンだったボロミアの戦死、そしてピピンとメリーの拉致はこの作品の最初で書かれている。
9人で始まった力の指輪を葬る旅。ガンダルフが深い地の底に落ち、ボロミアはオークの集団に殺された。残された7人は3つのグループに分かれる。フロドとサムは指輪を破壊するためにモルドールへと向かう。この作品では彼らの行動についてはまだ触れていない。
ボロミアの遺体をアンドウィンの大河に流したアラゴルン、レゴラス、そしてギムリの3人は、フロドとサムが旅立ったことを知った。指輪については、彼らの運命に任せることにした。そしてメリーとピピンを助けるためオークの跡を追う。
このあたりは映画とほぼ同じで、最終的に彼らはピピンとメリーを見つけることはできない。でもその消息をある人物から告げられる。それは灰色から白へと変わったガンダルフだった。地の底でバルログと死闘を繰り広げ、蘇ったガンダルフはサルマンに代わる白の魔法使いとして地上に戻ってきた。
ピピンたちが無事だと知って、アラゴルンたちはガンダルフと共にローハン国へと向かう。裏切り者のサルマンの軍勢がローハンに迫りつつあったから。この場面でガンダルフが物語の核心部分について語る。これは映画でははっきりと明言されていなかったこと。
サウロンは指輪の魔力を知っている。そしてホビットがその指輪を持っていることも。だけど彼はその指輪の扱いについて致命的なミスを犯した。指輪を持ったホビットが、まさかサウロンが拠点にしているモルドールへ向かうとは思っていなかった。
指輪の魔力は手にしたものを支配する。それゆえサウロンに代わって世界の王になろうと考えてしまう。それゆえ指輪はモルドールと境界線を向かい合っているゴンドール国に運ばれると思い込んだ。ガンダルフやアラゴルンはホビットを連れてゴンドールに行く。そして指輪のパワーを使ってサウロンに挑んでくると確信していた。
だからサルマンにローハン国を襲わせることで、ゴンドールへの兵力を減らそうとした。ローハンが危険なのは事実だけれど、まさかホビットが指輪を手にしたままモルドールに侵入しようとしているなんて、サウロンは考えてもいない。結果論として彼が敗北したのは、この思い込みだということ。それが物語のこの段階でガンダルフによって示唆されている。なかなか粋な伏線だよね。
次の作品では、アラゴルンたちにローハンを守るための激しい戦が待っている。そしてピピンとメリーもその戦争で大活躍をすることになる。ますます面白くなってきたよ。
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