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49.知識 × 経験 = ○○(2)

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 知識はあるのに知恵を持たない人は、まるで、野球部で筋力トレーニングばかりして、一度も白球に触ろうとしない選手のような印象を受けます。もっとも、私は知識の必要性を否定しているわけではありません。ボールを投げたり打ったりする前に、基礎体力を付けなければならないのもまた事実です。最後に勝敗を決するのは知恵かもしれませんが、知識がなければ知恵は生まれません。だからこそ、学校教育は必要不可欠な大切なプロセスであると言えます。

 

 ただ、ここで考えてください。人間は、長い人でも三十才、短い人では二十才くらいから記憶力は衰えていきます。すなわち、歳をとればとるほど、知識の習得が段々と困難になっていくのです。

 

 ところが、神様は、私たち人間に、歳を重ねても衰えない能力を授けてくれました。それが知恵なのです。「知恵」とは、言うなれば、「知識」と「経験」の掛け算です。ですから、人生経験を積めば積むほど、いろいろな知恵が湧いてくるのです。

 

 先の『ボ撮ルンです』やヤフーの成功と比較するのは気恥ずかしいのですが、実は私も以前は、ITライターとして成功するために、自分なりに知恵を振り絞ってきました。

 

 寝食忘れて魂を込めた本が売れて欲しいと願うのはライター共通の心理です。そこで私は、自著が何冊か出版された経験を元に、売れた本と売れなかった本の違いを徹底的に分析しました。得られた理由は一つではありませんが、売れるための重要なポイントとして、新刊のときにいかに書店での露出を高くするか、これが後々の売り上げに大きく影響することを確信しました。もっとも、これはある意味常識で、こうした知識を得るための学習を怠っていた私が未熟に過ぎません。しかし、ここから私は知恵を絞りました。

 

 初版でより多くの部数を印刷しようとすれば、そのリスクは出版社が負うことになります。そこで私が考えたのは、あえて自分の印税率を下げるように出版社に打診することでした。仮に、十パーセントの印税率を八パーセントに下げられれば、出版社はその差の二パーセント分のコストを初版の印刷代に充当することができます。

 

 すなわち、「コストの一部は私が負担しますので、その代わり、初版をより多く印刷してください」というのが私の交渉術なのです。

 

 より儲けたいと思うのであれば印税率を上げてもらう。これが定石です。しかし、私は逆に、「印税率を下げてください」とお願いするのですから、初めて仕事をご一緒する担当者は例外なく面食らいます。もっとも、いつでもこうした「逆の交渉」をしていたわけではありませんが。

 

 ただ、これが経験から導き出された私なりの知恵なのです。「知恵」と言うには随分と幼稚かもしれませんが、私は、この稚拙な知恵が、結果として十冊以上のベストセラーに恵まれた原因の一つであると感じています。

 

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第3章 真二、おそるおそるマクロを実行してみる
第4章 真二、メッセージを表示して感動する
第5章 真二、オブジェクトとメソッドが使えるようになる
第6章 真二、プロパティを覚えてドヤ顔になる
第7章 真二、算術演算子と関数をらくらく使いこなす
第8章 真二、意外とあっさりコレクションを理解する
第9章 真二、変数に腰を抜かす
第10章 真二、条件分岐と繰り返しでVBAのすごさを知る
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大村あつしプロフィール

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大村あつし

1996年8月にエーアイ出版より『Excel95で作るVBAアプリケーション〜 VBAで作る販売管理システム〜』でITライターとしてデビューしたが、2007年6月にゴマブックスより出版された『エブリ リトル シング〜人生を変える6つの物語〜』で小説家に転身。まだ、IT書籍の執筆は一部、続けているが、現在の活動は小説が中心となっている。

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