大村あつしオフィシャルブログ

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　まだＩＴライターになる前、何か目標が欲しかった私は、英語の勉強に取り組む決心をしました。とは言っても、仕事で英語が必要なわけではありません。しかし、勉強するからには上達したい。あくまでも自己啓発ですから、私は目標のレベルとその達成時期の設定に大いに悩みました。

　そのとき、通い始めた英会話スクールの先生にアドバイスを受けました。

　「通訳を目指しているわけではないのだから、達成すべきレベルを自分に課すよりも、いつまでに概ねこうなりたいというその達成時期を明確にしたほうがいいですよ」

　先生が言うには、英語を仕事にしようとしている人はともかく、私のような自己啓発が目的の人は、「まず到達したいレベルありき」では、途中で挫折してしまう危険性が高いということでした。それよりも、自分が頑張れそうな期間をまず見定めて、その期間の中で、目標とするレベルをその都度柔軟に調整しながら努力したほうが、結果的に高いレベルに到達できると言うのです。

　確かに一理あると思いました。そこで私は、自分がどれくらい頑張れそうかを考えてみたのですが、十年も続ける自信も理由もありません。かと言って、半年程度ではさすがに上達は見込めません。このとき、私が設定した期間は千日でした。別に三年でもよかったのですが、百日ごとに自分の実力をチェックしながら、それを切りのいい十回繰り返せば千日。正直、「千日」の動機はこんな単純なものでした。

　しかし、この期間の長さが自分にとっては絶妙でした。日々の上達は目に見えなくても、百日ごとにチェックすると、確かに私の英語力は上達しています。特に、最初の四～五百日は、元々の実力が低かったことも幸いして、それは面白いように上達していきました。そこで、「ＴＯＥＩＣで７００点」だった目標レベルを９００点に変更したのですが、さすがに７００点を越えたあたりから、思うように点数が伸びなくなってきました。

　最終的には、８００点を目標にして、勉強を始めてから約千日後にその目標はクリアしましたが、もし、最初から「ＴＯＥＩＣで８００点」とレベルありきで臨んでいたら、一年と持たずに挫折していたかもしれません。

　このときの経験から、目標の内容や、それを達成すべき必要性にもよりますが、私は短期目標は千日ほど先に置くようにしています。一万日も先では目標の姿が見えませんし、逆に、あまりに短期では、毎日前進している実感がないと焦りが生じ、まるで自分は駄目な人間じゃないかと自己嫌悪に陥ってしまうからです。

　目標を見失うことなく、しかし、途中で寄り道をしたり、たまには後ずさりすることがあってもネガティブに動揺しなくて済む。こうした目標の設定期間が、私にとっては千日後なのです。

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