今日の言葉 6月7日
『耳を傾ける術は、解放する術である』
誰かがあなたに何か言う。あなたはそれに耳を傾ける。そして他ならぬその耳を傾ける行為が解放する行為なのです。事実を見る時、まさにその事実を知覚することが事実の解放であるのです。
一つのことを例に取ってみましょう。例えば野心です。それがしでかすこと、その影響については、充分吟味してきました。野心に燃えた精神には、同情するとはどういうことなのか、気の毒に思うとはどういうことなのか、愛するとはどういうことなのか決して分かりません。
さて、あなたは今この発言を耳にしました。また、耳にしています。で、それを耳にすると、あなたは解釈を付けて、「野心の上に築き上げられたこの世の中で、私はどうやったら生きていけるのだろう?」と言います。ということはつまり、あなたは耳を傾けていないということです。あなたは発言、すわわち事実に応答し、反応しているので、事実を見つめていないということなのです。
あなたは単に事実を解釈したり、事実に関して意見を述べたり、事実に反応したりしているだけなので、事実を見つめてはいないのです。もし私たちが耳を傾けるならば、つまり評価や反応、判断を交えないという意味で、傾聴するのであれば、その時、間違いなくその事実からエネルギー——すなわち、葛藤を引き起こす野心を破壊し、拭い去り、一掃してくれるエネルギー——が生まれるのです。
〜クリシュナムルティ著『四季の瞑想—クリシュナムルティの一日一話』より〜