SOLA TODAY Vol.78
今日を最後の日だと思うこと。これはわたしが普段から自分に言い聞かせている言葉です。そうは言っても心のどこかでつい、明日があるからいいや、と考えてしまいます。命が永遠に続くような錯覚を覚えているからです。
だからこそ意識して言い聞かせています。そうすることで、その日を全力で生きたいと思うからです。でもそういう発想って、本当に効果があるの？ そう思われる方も多いでしょう。その問いのヒントになるような研究結果が発表されています。
人は「死」を意識すると、本当にパフォーマンスが向上する：研究結果
この記事はスポーツ心理学の学術誌に掲載された研究結果です。アメリカのアリゾナ大学の心理学研究者が発表した論文です。その内容は、
『バスケットボールの試合前に、「いずれは誰もが死を迎えること」をほのめかされた選手は、そうでない選手よりもシュートの成功率が高く、より多くの得点を稼いだ』というものです。
発表されている実験は２つです。どちらもバスケットボールの選手に協力してもらっています。
最初の実験はバスケットボールの試合を２回連続でやってもらう実験です。１回目は普通に試合をして、２回目の試合の前にランダムに被験者を２つに分けます。半数には１回目の試合の感想を書かせます。もう半分には自らの死についてどう考えるかというアンケートを書かせました。
そして２回目の試合をすると、試合の感想を書かせたメンバーは１回目とたいして変わらない状態でした。しかし死についてアンケートをとったグループは、試合でのパフォーマンスが40%も向上したそうです。
もうひとつの実験は、１分間でできるだけたくさんのシュートを行うゲームです。コイントスで２つのグループに分けます。半数には普通の姿をした研究者がルールの説明をします。残りの半数には『death』と文字を組み合わせて骸骨がプリントされたTシャツを着た研究者がルールを説明します。するとTシャツを着た人に説明を受けたグループのほうが、成功率が30%も高かったそうです。
とてもユニークで興味深い実験です。こうした心理学的な効果は、すでに一部のスポーツで利用しているコーチがいる可能性があると書かれています。自分の『死』について考えることで、今に対する集中力が増すのではないかと、わたしは感じました。
これはスポーツだけでなく、他のことにも応用可能だと思います。ただし根底にあるのが「死に対する恐怖」であることは、若干気になります。その人の心理状況や仕事の内容によっては、「恐怖」がもたらす逆効果も考えられるからです。かえって萎縮する可能性もありますからね。
だとしてもモチベーションを高めるために、一定の効果があるのは確かなようです。自分のなかでうまくバランスをとっていければ、やる気を育てる原動力になるような気がします。これからもわたしは、「今日が最後の日である」と意識していきたいと思いました。
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