SOLA TODAY Vol.517
今年はインフルエンザが猛威をふるっている。厚生労働省が今月の26日にまとめた発生状況によると、全国の累計患者数が283万人にまで達している。学級閉鎖等の処置を実施している学校や幼稚園は、増加するいっぽうらしい。
そんなインフルエンザについて書かれた、興味深い記事がある。
ボクの世代が小学生のころは、インフルエンザの予防接種が学校で行われた。朝起きたら体温を計って、親に印鑑をついてもらった用紙を持参した。あまりうれしくないものだったけれど、それが当たり前だと思っていた。
ところがインフルエンザの予防接種が小中学校で義務づけられていたのは、1987年までの11年間だったらしい。義務化のスタートがボクの中学校2年生のときだから、もしかしたら京都は義務化以前から予防接種を行なっていたのかもしれない。
どちらにしても、1987年以降は義務ではなくなっている。ワクチン接種後に高熱を出したりする子がいて、訴訟等が起きたらしい。それで希望する人だけに接種するようになった。ありがちなことだよね。
そのワクチン接種に関して興味深い統計が出ている。くわしくはこの記事を読んでもらえばわかるけれど、ワクチン接種が義務づけられていた1987年までは、学級閉鎖日数の平均は1.3日だった。
でもほとんど接種をしていない1995年から1999年にかけては、平均日数が20.5日まで増えている。とんでもない数字だよね!
あわてて任意接種を増やした2000年から2003年になると、とたんに9.25日まで減少している。それでも義務化の1.3日には及ばない。もちろん年度によってインフルエンザの流行度合いはちがうし、ウィルスの種類もちがうだろう。単純に比較できない部分があるかもしれない。
だけどこの数字を見ている限り、明らかに相関関係がある。子供たちにインフルエンザの集団接種を行なったほうが、学級閉鎖が減っているのはまぎれもない事実だということ。アメリカではもっと興味深い結果が出ている。
子供のワクチン接種を増やすと、インフルエンザによる老人の死亡率が大幅に減っている。つまり子供の感染が減ると、体力のない老人の命を守ることになるということ。これは想像がつく。
子供たちにインフルエンザが流行すると、その両親が感染する。そして両親が職場に行くことによって、同僚たちに広がっていく。それが老人にまで拡大していくのだろう。子供は平気でマスクを交換したりするから、感染が拡大しやすいものね。
ワクチン接種に関しては、賛否両論がいまだにある。ワクチンを打っても、新しいウィルスには対抗できない。あるいはワクチンそのものを、害悪でしかないと非難する医師もいる。だとしても、これだけはっきりと結果が出ていると、ワクチン接種のメリットを見過ごすことはできないと思う。
ボクはワクチンを接種しようとは思わない。なんとなく嫌だから。だからその分、感染しないように注意はしている。手洗いをまめにして、できる限り人ゴミに出ないようにしている。インフルエンザに関して、兵庫県は警報レベルの感染状況だから。
もしかしたら子供たちのワクチン接種を復活させるほうがいいのでは? そんなことを考えさせられる記事だった。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。