癒す人=完璧な人ではない
ロックオタクのボクが応援しているフー・ファイターズというバンドがある。元ニルヴァーナーのドラマーだったデイブ・グロールが結成したバンド。
昨年にこのバンドのドラマーだったテイラー・ホーキンスが急死した。そんな悲しい出来事が起きたけれども、今月の2日にニューアルバムをリリースした。ちょうど今、そのアルバムを聴きながらこの曲を書いている。
ちなみにこのアルバムに関しては、デイブ・グロールがドラムを担当したそう。まぁ、元はドラマーだからね。アルバムタイトルは『But Here We Are』で、バンドが死んでいないことを象徴しているかのよう。何もない真っ白なアルバムジャケットに、彼らの強い想いを感じる。
さて、数日前にフー・ファイターズが驚くようなミュージックビデオを公開した。アルバムに収められている『The Teacher』という曲で、なんと10分もある曲。教師だったデイブ・グロールの母が亡くなったことで、母へ捧げた曲とのこと。10分もの曲をシングルとしたことも驚くけれど、何よりぶったまげたのがこの曲の映像。
昨日の夜、真っ暗な部屋でボクは見た。そして曲を聴きながら、あっという間に変性意識へと入ってしまった。言葉にできない不思議な映像で、1970年代のピンク・フロイドのビデオ映像を思い出した。リンクを貼っておくけれど、どうせ見るなら暗い部屋でどうぞ。人によってはそのまま体外離脱しちゃうかもよwww
さて、とても心温まる映画を観た。さすがトム・ハンクスという作品で、実話を基にしているだけに心を激しく揺さぶられた。
2023年 映画#81
『幸せへのまわり道』(原題:A Beautiful Day in the Neighborhood)という2019年のアメリカ映画。トム・ハンクスが演じるのは、生涯を子供向け番組に捧げたフレッド・ロジャースという司会者。2003年に亡くなっているけれど、写真を見るとトム・ハンクスがそっくりにメイクしているのがわかる。
主人公はロイドという雑誌のジャーナリスト。優れた才能を持っているが、取材対象に冷淡にあたることで行き詰まっていた。そんなロイドが、上司の命令でフレッドを取材することになる。フレッドとの交流によって、ロイドが閉ざされた自分の感情に向き合っていくという物語。
ロイドは家族を見捨てた父との確執を抱えていた。ロイドが若い頃に母は亡くなっているが、父は自分勝手な生活で病院に近寄ろうともしなかった。父とは縁を切ったつもりだったけれど、姉の結婚式で父と遭遇する。姉が密かに呼んでいたらしい。
披露宴会場で父と殴り合いになり、顔に傷をつけたままロイドはフレッドの取材をすることになった。フレッドが怪我の理由を尋ねても、彼は真実を言わない。そんな二人が、やがて親友へとなっていく。最終的にはロイドは父を許し、父の死を看取るというエンディングだった。
トム・ハンクスの演技は言うまでもなく、ロイドを演じたマシュー・リスという俳優さんが素晴らしい。さすがイギリスの俳優。そしてロイドの父を演じたクリス・クーパーもさすがベテランという最高の演技だった。
最も感動したのは、フレッドが完璧な人ではないということ。妻によると、彼の本性は短気で怒りっぽい。なのにフレッドはロイドに対して、怒りのコントロールをする方法を教える。そしてロイドの心を癒した。
フレッドが人を癒せるのは、ひたすら努力を続けているから。フレッドは自分の怒りの感情に向き合うため、必死になってもがき続けている。その姿を他人に見せることがないから、人格者として慕われているだけ。ラストシーンで一人になったフレッドが、ピアノに怒りをぶつけているシーンが印象的だった。いい映画だったなぁ。
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