大村あつしオフィシャルブログ

桜塚やっくんの逝去から４日。

まったく実感の湧かない状況から、昨日は、テレビのワイドショーを見ながら「やっぱり死んじゃったんだ」と涙が溢れました。

ただ、今日という日は、やっくんが生きられなかった未来です。

いつまでも落ち込んでいたら、スケバン恐子に「大村さん、がっかりだよ！」と叱られてしまいます。

そこで、気を取り直して、生前、やっくんが語っていた夢をお話しします。

今年の１月だったと思います。やっくんと食事をしていたら、突然、やっくんが語り出しました。

「大村さん。僕、マジでお笑い芸人のトキワ荘をやろうと思って」

トキワ荘は僕もよく知っていますが、一応、簡単に説明すると、東京都豊島区にあった四畳半の古い木造アパートで、今では神様と称される、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫などが住んでいた伝説のアパートです。

「お笑い芸人志望の人に格安の家賃で貸してあげる。ただし、３つのどれかに該当する人は退去。お笑いをやめた人。売れた人。10年、売れなかった人」

この「10年売れなかった人」という条件に、やっくんの優しさを感じました。要するに、「10年頑張ってダメだったら、一度きりの人生、別のことで頑張れよ」ということです。

そのときは、やっくんがどこまで本気で「お笑い芸人のトキワ荘」計画を立てていたのかわかりませんでしたが、先ほどネットニュースで、お父さんにも熱くこの夢を語っていたことを知り、初めて、やっくんが本気だったことがわかりました。

事故の数日前、やっくんとの最後の会話となってしまいましたが、やっくんは「FXで稼ぎますよ。大村さん、今度、その件で食事しましょう」と語っていました。いつものように、冗談交じりではありましたが、「俺、売れないお笑い芸人の役に立ちたいんですよ」が口癖だったやっくん。きっと、稼いだお金で、シェアハウスをするつもりだったのでしょう。そして、食事の時に、その構想を話すつもりだったのだと思います。

誰かが、やっくんのこの夢を受け継いでくれればいいのですが。

改めて、やっくんのご冥福をお祈りいたします。

合掌

作家　大村あつし

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