今日のウィルバーくん 3.19
前回は「アートマン・プロジェクト」という、ウィルバーが提唱した言葉について初めて触れました。今日はそれについて彼が語っている内容を見てみます。この先も出てくると思いますので、とりあえずの導入部です。
〜以下抜粋。
アートマン・プロジェクト、それは「スピリット」を見つけようとしながら、実際にはわざわざそれが見つからないような、しかし、その代わりとなる一時的な充足での満足を強制するような方法で見つけようとする試みのことである。顕現している宇宙のすべては、この「アートマン・プロジェクト」によって動かされている。それはわたしたち───あなたやわたし───が「スピリット」に目覚めるまで続く。それまで、この時間と空間、占有の欲求とそれがもたらす絶望の世界で、発見の代わりとなるもので満足しなければならない。
わたしたちが、そこから目覚めるべき歴史の悪夢とは「アートマン・プロジェクト」の悪夢である。それは最終的には、時間のないものを時間のなかに求める、実りのない探求である。本来的に恐怖や苦悩を生み出す探求であり、その自己は抑圧で荒廃し、罪悪感で麻痺し、呪われた疎外感の凍傷と熱でうなされている。この拷問は、偉大な探求それ自体が身を解く時、輝かしいハートのなかでのみ自然に解体し、停止する。その時、本当の神であれ代替物であれ、それを見つけようと身構えている緊張が解きほぐされ、リラックスする。時間のなかでの運動は、コスモスのハートそのもののなかの偉大な不生、偉大な未創造、「空」によって解体される。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『アートマン・プロジェクト」より。
あなたが人生に対して、たとえ今の瞬間は感じていなくても、恐怖や苦悩や罪悪感や疎外感を覚えているとしたら、「アートマン・プロジェクト」の真っ最中ということかもしれません。一時的に落ち着いたとしても、「スピリット」の代わりになるものを見つけただけです。
「アートマン・プロジェクト」を終わらせない限り、それはいつまでも続きます。ではどうすれば終わらせることができるのか？ それはこの文章でウィルバーは少しだけ触れています。
『スピリット』を見つけよう、として身構えている限り、「アートマン・プロジェクト」は終わらないのかもしれません。見つけようとするものに対して、わざと見つからない方法でアプローチする。その先にあるのは絶望ではないでしょうか？
そしてその絶望を心の底から感じた時、見つけようとすることから手を引いた時、私たちは「スピリット」が常に自分とともにあったことに気づきます。見つける必要などなかったのです。その瞬間、「アートマン・プロジェクト」が終わります。プロジェクトが完了するのです。ウィルバーの言いたいことは、そういうことだと思います。
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