今日のウィルバーくん 7.28
前回は思考に巻き込まれない生き方について触れました。人間は際限ない心のおしゃべりで人生を費やしています。そしてそれらは現実世界での具現化に、大きな影響を及ぼしています。少しでも人生を生きやすくするためには、そうした思考に巻き込まれないことが重要です。
それはただ思考を眺めること。起きた現実を褒めもせず、批判もせず、判断もせずに、ただ見ることが大切です。さ迷い歩く自分の心を、あるがままに放っておくこと。そのことによって人生が好転する、とウィルバーは述べています。では思考を眺める習慣をつけることによって、具体的にどのような変化が起きるのでしょうか？ ウィルバーの言葉を見てみましょう。
〜以下抜粋。
こうして公平に、すべての思考、幻想、観念、イメージをじっと見つめていると、あなたは次第にそうした思考やらイメージやらの無意識的な影響から解放されていく。あなたはそれを見ている。あなたはそれらを使って世界を見ているのではない。したがって、その程度にあなたは、自由である。あなたは、そうした思考や観念やらイメージに頼っている自己感覚から、解放されていく。
言い換えれば、あなたはエゴから自由になっていく。これがスピリチュアルな次元の初めの段階であり、そこでは、慣習となっているエゴは「死」に、高次の意識が「復活」（再生）する。あなたのアイデンティティの感覚は、より広がり、コスモスを抱擁する。あなたは、孤立した心と身体を超え、より大きなアイデンティティ、例えば自然や宇宙と一体になる。
（中略）
言うまでもなく、このことはとてつもない救いの経験である。これは超越の始まりであり、故郷への帰還の道を見つけた、ということである。自分が宇宙と一体であると感じる。それも永遠に。死への恐怖は安らぎ始める。あなたは非常に具体的で、はっきりと、自分自身の存在の、開けた、透明な性質というものを感じ始める。
感謝と献身の念が生まれる。キリスト、ブッダ、クリシュナという形をとった「スピリット」への献身。一切衆生への献身。どんな形であれ、存在の深いところからの菩薩の誓いが非常に力強く湧き上がってくる。あなたはそうした衆生をどのような形であれ、助けなければならないと悟る。ショーペンハウエルが言ったように、わたしたちすべてが、同じ「自己」、同じ「スピリット」、同じ「絶対」を分有しているからである。これらすべてのことが、屋根をたたく雨のように、明白なものになる。それはリアルで具体的なものである。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『瞑想の段階』より。
説明するまでもないですね。悟りとはどのようなものか、について語られた文章です。
思考を見るためには、やはり瞑想は効果的です。瞑想の種類は数え切れないほどありますが、「思考をただ見る」ことを目的としているかどうか注意してください。単なる自己満足の願望実現を求めたり、欲するヴィジョンを見るだけの瞑想も存在しますから。
私が過去にやったことのあるTM瞑想は与えられたマントラを唱えるだけなのですが、それはマントラに集中することで思考を客観視するためです。あるいはチベット仏教の瞑想も、思考を追いかけない方法が確立されています。とにかく大切なのは、思考にとらわれないことを目指した方法であるかどうかです。
明晰夢も思考を見るには効果的な方法です。夢の世界をリアルに経験しながら、それが夢であることに気づいています。だから決してその世界に囚われることはありません。出来事を経験しながら俯瞰した自分が存在しているのです。これは現実世界にも応用することが可能です。明晰夢や体外離脱には、こうした効果もあります。ぜひ練習してくださいね。
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