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高羽そらさんインタビュー

江戸時代の囲碁は格闘技だった

今日は朝から雨の神戸。それほど強い雨じゃないけれど、夕方になってもシトシト降り続けている。そのせいか気温が上がらないので、どことなく肌寒い。そういえば猫のミューナは、朝から顔を見ていない。布団のなかにもぐり込んだままらしい。

 

10月といえば、テレビ業界では新年度のスタートのようなもの。番組の改変時期なので、新番組がスタートしている。ボクは普段、NHKの朝の連続ドラマを見ないけれど、今日から始まったドラマを録画した。

 

たまたまテレビで予告編を見たのと、Twitterの広告に惹かれてしまったから。途中で挫折するかもしれないけれど、とりあえず直感を信じて見てみようと思う。そしてもうひとつ、同じくNHKで昨晩から始まった海外ドラマも録画した。

 

「全米が泣いた」という、めちゃめちゃベタな宣伝文句にこれまた惹かれてしまった。これもTwitterの情報を見て録画したので、意外と広告効果が高いのかもしれないね。ドラマや映画との出会いは縁のものなので、こうした機会を逃さないようにしている。さてさて、どんな出会いになるのだろうか?

 

ドラマや映画だけでなく、小説も何かの縁があって出会う。そしてそうした必然的な縁は、貴重な学びの機会をもたらしてくれる。新しい世界観を見せつけられた小説を読了した。

 

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『幻庵』下巻 百田尚樹 著という小説。先日に上巻を読んで紹介したけれど、引き続き下巻を昨晩に読み終えた。

 

上巻は、主人公の幻庵が4つある碁の家元の後目となる青年時代までを描いたもの。この下巻は、井上家の家元となった幻庵の苦悩と死去までが書かれている。上巻は導入部に過ぎず、この下巻に壮絶な物語が残されていた。

 

江戸時代に『名人』という称号を得るのは、並大抵のことでは無理だった。同じ時代の碁打ちを圧倒する力を持つだけでなく、4つの家元の承認が必要となる。もし1つの家元でも反対を唱えれば、待っているものがある。

 

それは『争碁』という、名人を希望した家元と反対した家元が、碁の勝負の一騎打ちを行う。江戸幕府の寺社奉行を巻き込んだ、大掛かりなものになる。

 

名人になるのはそれほど大変なので、争碁を避けようとして、あらゆる謀略が影で行われる。主人公の幻庵はその争いに巻き込まれ、苦渋を飲まされた末、名人になることができなかった。

 

そして実話であるこの物語が読者を感動させるのは、幻庵を取り巻く弟子たちの壮絶な戦い。囲碁というのは頭を使うだけに思うけれど、そんな簡単なものじゃない。たった一手を打つのに、何時間も考える場合もある。江戸時代には、現代のように時間制限がなかったから。

 

それゆえ、朝から深夜まで碁の勝負が続くのは普通。ひどい場合には、二日ほど一睡もしない対局もあった。だから肉体の強さも求められるので、江戸時代の囲碁は格闘技と言っていい。

 

さらにこの時代、結核というのは不治の病だった。労咳と呼ばれている結核を患っていた人は多く、この病気によって天才的な才能を持っていた若い碁打ちが大勢命を落としている。当時は結核が空気感染することを知られていなかったから。

 

幻庵を名人の座につけるため、因徹という若い弟子は天才的な碁でライバルを圧倒しようとする。だけど労咳を患っていて、対局中に血を吐き、その後に他界するというシーンもあった。まさに命をかけた戦いがこの下巻では繰り広げられる。こんな世界があるのを、まったく知らなかった。

 

主人公の幻庵が亡くなるのは、明治維新の少し前。碁の4つの家元は、徳川幕府によって保護されていた。だから幕府の滅亡によって、生活に窮することになる。この物語のエピローグでは、幻庵亡き後の囲碁界についても書かれていて、それもちがった意味での戦いの日々だった。

 

この物語、映画化されないかなぁ。ボクはぜひ映像で見たい。碁にあまり興味がないと、この小説は読みづらいかもしれない。だからそんな人にも江戸時代の囲碁の世界を知ってもらうため、映像化が実現したらいいなぁと思う。この物語は、現代社会にも通じる人間の根源的なパワーに満ちているから。本当に素敵な作品だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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