SOLA TODAY Vol.739
自分はいたって健康なのに、そこにいるだけで疲れてくる場所がある。誰にでもそんな場所があるのではないだろうか?
ボクの場合は病院。20代のころは仕事で病院に行くことが多く、現場に入るとどっと疲れていた。自分の診察じゃなくて付き添いで行っても疲れるし、お見舞いに行っても体力が消耗するように感じる。
病院という場所ゆえ、気のせいでそうなるんだと思っていた。だけどもしかしたら、それだけじゃないのかも。
資生堂が4年間かけて研究した成果を発表した。
『20代から70代の男女、およそ500人に、初対面のインタビューアーが暗算問題を出すなど心理的なストレスをかけたところ、強い緊張感のあった人ほど、皮膚から独特のにおいがあるガスが出ていたことがわかった』
この匂いを、資生堂は「ストレス臭」と名づけている。個人差はあるそうだけれど、硫黄化合物の匂いで、ネギやニラのようなものらしい。
困ったことに他人の「ストレス臭」を嗅ぐと、その人も疲労感を感じることがわかったとのこと。ボクが病院で疲れる理由はこれかもしれない。
病院へ診察に来ている人は、相当なストレスを抱えている。検査を受けるだけでも心理的な負担はかなりのものだろう。だとしたら大勢の人が「ストレス臭」を出している可能性が高い。つまり病院にいるだけで、必然的にその匂いを嗅いでしまうということになる。
もちろん人間は周囲の『気』にも影響されるので、不安を抱えた人の心の影響を無意識に受けているはず。でもそれだけじゃなく、物理的にも「ストレス臭」によって疲れを感じていたのかもしれないよね。
反対に言えば、テーマパークのようなところで遊んでいると、どれだけ歩いても疲れを感じない。もしかしたら、「ストレス臭」に相反するような物質が人間から出ているのかも。
そう思うと、ブラック企業のような職場はかなりヤバい。大勢の人が多大なストレスを抱えて仕事をしていたら、職場は「ストレス臭」に満たされる。1日の仕事を終えてぐったり疲れる理由のひとつに、他人が発する「ストレス臭」の影響があるように思う。
だったら予防するにはどうすればいいのだろう? 高性能のマスクなら、『ストレス臭』の分子を通さないだろうか? 資生堂もここまで研究するのなら、その対策方法も検討して欲しいよなぁ。とりあえず匂いを抑える技術を研究するそうなので、今後の成果に期待しよう。
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