ガストンとの対話 Vol.13
ガストンさん、さっそく質問させていただきます。いわゆるカルマというのは存在するのでしょうか?
「ざっくりした質問だな……。ざっくり答えさせてもらうなら、あると言えばある、ないと言えばない」
アハハ、ざっくりした答えですね。つまり考え方によって違うということですね。
「原因と結果という因果論に囚われている限り、それは真実となる。そしてそれはエネルギー的にも説明可能だ。だが因果論にこだわるのなら、それをどこまでさかのぼるのだ? 例えば極端な話しだが、ある人生で人を殺したとしよう。衝撃的な出来事ゆえ、カルマを作ると想像できるな」
そうですね。その後の別の人生で同じような目に遭うかもしれないと考えますね。
「だが、その殺人が誰かのカルマを精算することだったらどのように判断する? 生まれる前に誰かに頼まれたことだったらどう判断する? 新しいカルマを生み出したのではなく、過去に自分を殺した誰かのカルマを解消させるさめの行為かもしれない」
う〜ん、確かに。今の人生だけしか知ることのできない私たちには、現在の行為が新たなカルマなのか過去のカルマに起因したものか判断できませんね。何が原因で自分が行動しているのかわからなくなってきます。あっ、これが因果論に囚われている状態ですね?
「過去から未来という時系列でものごとを捉えている限り、カルマという考えに永遠に囚われることになる。その行為によって人をジャッジしようとする。過去に怯えて今を生きるのか? お前さんの過去生と昨日公園で弁当を食った出来事の本質は全く同じだよ。それは単なる記憶だ。時間の概念を超越したものにとって、カルマは真実ではない」
それでは「今、ここ」をどう生きるかによって、過去のカルマだと考えているものの影響を変えることができるということですか? 未来が過去を変化させるということがあり得るのでしょうか?
「未来が過去を変えて、また新しい未来を創り出す。それは「今、ここ」に存在して時間の概念から超越することで可能だ。お前さんは『ゼロの物語』でそのことを書いたのではないのか?」
アハハ、そうでしたね〜
「お前さんが書いた作品は過去だな? 画家でも音楽家でも、作品を世に送り出した時点で過去だ。アーティストがその時点での「今、ここ」を抜き出したものだとしても、さらにその先の「今、ここ」から見れば過去だ。わかるな?」
はい、わかります。
「よく憶えておけ。しかしその作者の「今、ここ」の生き方次第では、その過去の作品も変化する。同じ文字、同じ音符、同じ絵の具で創造されたものであっても、そのエネルギー的価値に変化を与えることになる」
どれだけ素晴らしいと評価された作品でも、「今、ここ」の作者の生き方次第で人に与える影響が変わってしまうということですね。
「そうだ。全てはエネルギーのやり取りだ。「今、ここ」の生き方が、常にその人間の生み出したものに反映される。逆に言えば、本人が失敗作だと思っていて実績がそれなりだとしても、「今、ここ」の作者の生き方次第で、その過去の作品は人の琴線に触れ感銘を与えるものに変化する。過去を変えることは可能なのだよ」
「今、ここ」を精一杯生きることが、カルマの影響から離れ、自分の人生を変えていくことになるのですね。しっかり心に刻んでおきます。
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