今日の言葉 9月13日
『思考者なしに思考する』
木の上にいる猿が空腹を覚えました。すると果物や木の実を取りたいという衝動が起こります。まず最初に行動が起こり、それからそれらを蓄えたほうがいい、という観念が起こります。言い換えると、最初に起こるのは行為か、それとも行為者か、ということです。
私たちが常日頃、自分自身に向かって問いかけているのは、このことです。しかし実際、極めて厳密かつ注意深く、そして英知を以ってそのプロセスを吟味してみるならば、必ず行為が先に起こり、目標を視野に入れた行為が行為者を生み出していることがお分かりになるでしょう。
行為が目標を視野に入れると、その目標を手に入れるために、行為者が生じるのです。先入観を持ったり、順応したり、誰かを説得しようとしたり、目標を視野に入れたりせずに、非常に明晰に思考するならば、そのような思考そのものの中には思考者は存在しません。——思考だけが存在するのです。思考ではなくあなたが重要になるのは、思考の中で目的を求める時だけです。
仮に思考者が先に起こるとすると、思考者は思考よりも重要となります。そしてあらゆる哲学、社会的慣習並びに現代文明の活動はこのような前提に基づいています。しかしながら思考が先に起こるならば、思考は思考者よりも重要となります。
〜クリシュナムルティ著『四季の瞑想—クリシュナムルティの一日一話』より〜