今日の言葉 10月9日
『思考の限界』
突然何かを知覚して、しかもその知覚の瞬間には、何の問題も存在しない。今までこのようなことが皆さんの身に起こったことがありますか? きっとおありでしょう。問題を知覚したまさにその瞬間、その問題がすっかり止んでしまうのです。
あなたは問題を抱え続け、どこにも逃げられません。自分の能力の及ぶ限り、その問題を調べたあげた挙句、あなたはそれをほったらかしにします。そうすると、あなたの精神はもはや思い煩うことも、問題を引き裂こうとすることもなく、「答えを見つけなければいけない」と言うこともありません。ですから静まります。違いますか? そしてその静寂の中に、答えが見つかるのです。
このようなことは偉大な数学者や科学者の身には起こることですし、普通の人々も日々の中で時々経験することです。精神が思考能力をギリギリまで用いて、あらゆる思考の限界までやって来た。しかし答えは何も見つかっていない。その結果、精神は静かになる。
答えを見出すためにできること全てをなすと、精神は自ずと静かになるのです。そこには選択なき気づき、いかなる要求をも持たない気づき、不安を全く持たない気づきが存在し、そのような精神状態には知覚が存在します。そして私たちの抱えるありとあらゆる問題を解決してくれるのは、この知覚だけなのです。
〜クリシュナムルティ著『四季の瞑想—クリシュナムルティの一日一話』より〜