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高羽そらさんインタビュー

なぜ他人を裁いてしまうのか

当分は気温が高めの晴天が続くようで、洗濯物もお布団も気持ちよく干せます。明日は京都で時代祭です。天気に恵まれそうで良かったですね。

 

ブログでよく書いていますが、京都の祇園の事務所で働いている時は、何度も時代祭に参加しました。「平安時代女人列」というのがあって、花街でその行列を担当していました。芸舞妓さんが紫式部や清少納言に扮するわけです。メインは白い馬にまたがった巴御前です。

 

私も着物に裃を着けて歩きました。京都御所から平安神宮まで歩きます。世話役なので何かと大変でしたが、楽しい思い出がいくつもあります。きっと明日もどこかの花街が担当されているのでしょう。祇園祭に比べて歴史の浅いお祭りです。でも見応えがありますよ。明日京都におられる方は、ぜひご覧になってください。ルートの沿道なら、どこからでも間近で見ることができます。

 

さてさて、ようやく2,100ページの旅が終わりました。

 

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『ソロモンの偽証 第3部 法廷』宮部みゆき 著という本を読了しました。

 

久しぶりに思い切り興奮させられた物語に出会いました。映画化されたのが納得の作品です。この物語だけで、私は完璧に宮部ファンになってしまいました。実は昨日も新しい作品を借りてきて、すでに昨晩から読み始めています。

 

行きつけの図書館に置いてある東野圭吾さんと伊坂幸太郎さんの本は読み尽くしましたので、予約待ちばかりです。ですからしばらくは、すぐに手に取れる宮部さんの作品を手当たりしだいに読んでいくつもりです。現在読んでいるのは上下巻に分かれた長編です。

 

さて『ソロモンの偽証』に戻ります。この作品は中学2年生の自殺から全てが始まります。そこから派生的な出来事が起き、生徒や教師、そして保護者やマスコミを巻き込んで大きな騒ぎになります。本当は殺人かもしれない。そうした噂が飛び交います。

 

物語を読み進めていると分かりますが、これは間違いなく自殺です。そうではないと匂わせているだけで、殺人事件ではないと読者は理解しています。ただ、そうだからと言って放っておけない暗闇が渦巻いています。それを取り去らなければ、関わった生徒たちは前に進むことができない。同級生の死の真実を知ることが必然だと納得できるストーリーになっています。そしてこの第3部でついに校内裁判が実施されます。

 

とても中学生とは思えない、見事な裁判になります。反対していた校長代理等も、協力せざるを得ない状況になってきます。証人として中学生だけでなく、その保護者、教師、刑事、弁護士等、本格的な裁判が進行します。ただ通常の裁判と大きく違うこと。それは『物証』が存在しないことです。

 

証言によって進められている裁判であり、具体的な事実として出せる証拠は限られています。ですから誰かが嘘をつけば、検察役も弁護役も自分たちの推論を否定しなくてはなりません。本当のことを言っているのは誰なのか? この物語のタイトルに『偽証』が使われているのは、そうした意味からだと思います。

 

最後に予想外の人物が証人に立つことで、この物語は結末を迎えます。私は第2部の中間あたりまで読んだ段階で、この結末をほぼ予想していました。そうでなくては面白くありません。もし違った結末なら、がっかりしたことでしょう。

 

そして宮部さんとしても、その結末を予想できるように書かれていたと察しています。なぜなら第1部の冒頭に書かれた伏線が強烈な印象を残しているからです。ですから通常の推理小説のように予想不可能な展開で事実が明らかになるのではなく、怪しい、どうも変だ、という印象を抱かせたまま物語が進行するのです。

 

自殺した少年は学校生活に馴染めず苦しみ、もしかしたらいじめを受けていたかもしれない。そんな被害者的な立場で描かれ、登場人物たちもそうした印象を持っています。ところが裁判でその仮面が剥がされます。そのことで被告だった不良少年の無罪は確定します。さらに中学生の陪審員たちは新たな評決を付け加えます。別の人間を殺人罪で有罪と認定しました。

 

それは自殺した少年が、自分自身を殺害した、という罪です。

 

登場人物たちは裁判を通じて、他人を裁くことを経験します。ところが裁判が進むにしたがって、それぞれの人間が自分自身に向き合ってきることに気づきます。自分の中に存在する善だけでなく、悪にも目を向け始めます。そして誰もが葛藤と苦しみを抱えながら、裁判を最後まで継続させるのです。

 

結局彼らにとって、その裁判は他人ではなく自分の葛藤に向きあう結果になりました。関わった誰もが逃げようとせず、自分なりにおのれと向き合いました。ですから最後まで裁判を継続できたのです。

 

そんな彼らと違い、自殺した少年は、自分に向きあうことをしませんでした。自分が誰よりも利口で正しいと信じ、他人を見下していました。そして親友でさえ心の中で裁いていたのです。本当は親友の死が見たかったのです。人が死ぬのを見れば、自分は生きようと思えるかもしれない。まるでサイコパスの考え方です。

 

自分と真摯に向きあうことを避けることによって、人は他人を裁いてしまうのではないか。それこそが、人間が無意識に他人を裁く理由ではないか。そうしたことを考えさせられる作品でした。

 

さて映画が楽しみです。これだけの作品をどのような脚本で、どのように監督が演出して、どのように俳優さんたちが演技しているのか、興味津々です。近いうちにレンタルして観ようと思っています。

 

『夢で会える 体外離脱入門』は在庫僅少ですので、お求めの方はハート出版さんや書店に問い合わせてください。Amazonでの注文はこちらです。

 

『ゼロの物語』3部作は電子書籍のみの販売となりますので、こちらのホームページから販売サイトに行ってくださいね。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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