消費税の軽減税率がアホすぎる
ボクが20代のころに税理士になろうとして転職したのは消費税がきっかけ。父親の会社で働いているとき、消費税に関する勉強会で税金や簿記に興味が出た。
そして初めて消費税が施行されたとき、ボクは税理士事務所で働いていた。だからその日のこともよく覚えているし、それまでに事務所でかなりの時間をかけて勉強会をした。顧問先によって簡易課税か原則課税かを選択しなければいけなかったから。
それでもまだ当時の法律はわかりやすかった。非課税対象も論理的だったし、申告方法も極力簡便化されていたので、思っていたより現場が混乱しなかったという記憶がある。
ところが今年10月に改正される消費税法はかなりの難敵が待ちかまえている。それは軽減税率。
軽減税率、微妙すぎる線引きをまとめてみた プロ野球チップスが対象外のナゾ
現在の景気状況を考えたら、消費税の増税は延期するべきだったと思う。おそらく消費が極端に冷え込むだろう。ただ大局的に見れば、致し方ないところもある。10パーセントという税率も感覚的になじみやすいので、それほど極端に反対しようとは思わない。
ただし軽減税率は別。これは議案として出されたときから大反対だった。よくこんなアホな法律を出してきたな、とマジであきれてしまった。どの業界も軽減税率の対象にしてもらおうと躍起になるので、混乱することが目に見えていたから。
このリンク先の記事を読めば、どれほど曖昧な法律なのかわかる。特にややこしいのが食品。基本的に食品は軽減税率の対象になるけれど、対象外の規定がかなり微妙。
『酒類、外食、医薬品や医薬部外品等、事業者が顧客の自宅などへ出向き料理を作る「ケータリング」、おもちゃ付きお菓子など「飲食料品とそれ以外」を組み合わせた商品の一部』
これらは従来どおりの10パーセントになる。この記事でも取り上げられているけれど、本みりんはアルコール濃度が高いので酒類扱いになる。だから税率は10パーセント。おもちゃ付きのお菓子だと、対価の3分の2以上がおもちゃだと認定されたら10パーセントになる。
医薬部外品に指定された栄養ドリンクは10パーセントだが、最近人気のエナジードリンクは清涼飲料水扱いなので軽減税率が適用される。飲食店がややこしい。遊園地の売店で食べ物を買った場合、お店が設置したベンチで食べたら10パーセントなのに、園内を食べ歩いたら8パーセントになる。
つまりマクドナルドでセットを買ったとき、店内で食べると言ったら10パーセントだけれど、途中でお腹がふくれてテイクアウトしても8パーセントにならない。レジの段階でどちらにするか宣言する必要がある。
新聞だって紙の新聞を購読していたら8パーセントだけれど、ネットで有料契約して同じ記事を読んだら10パーセントになる。駅売りの紙の新聞も10パーセントなんだよね。定期購読じゃないから。とにかくめちゃくちゃ。
まずは個人経営も含めて中書企業が大混乱すると思う。大手のスーパーはコンピュータを導入して区別できるようするだろうけれど、小さなところだとレジは大変なことになると思う。
そして税理士事務所の来年の確定申告時期を想像すると、マジで同情してしまう。帳面もろくにつけていない個人商店の売上を分類するだけで、気が遠くなりそう。ボクは絶対にやりたくない。
この軽減税率を一方的に推してきたのは公明党。自民党はどうしても増税したくて、公明党が主張する軽減税率を認めざるをえなかったから。おそらく官庁もあきれていると思う。いずれは慣れるのかもしれないけれど、しばらくは大騒ぎになりそうな気がするなぁ。ほんとアホな法律を作ったもんだ。
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