ボクがリアルタイムで見た死闘
スポーツ観戦ほど楽しいものはない。なぜなら映画のように筋書きがないから。何が起きるかわからないからこそ、手に汗握って観戦する。そして想像を超越したドラマに出会ったとき、永遠に忘れがたい玉石の記憶となって心に焼き付けられる。
必死で試合を見るスポーツはいくつもある。タイガースファンのボクは当然ながらプロ野球観戦が大好き。サッカーも海外の試合を好んで見る。冬になるとフィギュアスケート観戦も欠かせない。
そして試合が開催されるたび注目しているスポーツがある。それはテニス。4大大会と呼ばれている全豪オープン、全米オープン、全仏オープン、そしてテニス発祥の地で開催されるウインブルドン選手権に関しては、できる限り試合結果を追いかけている。
そんなボクをテニス好きにしたのは、ある試合を見たから。その日以来、ボクはテニスというスポーツに惚れ込んでしまった。
その試合とは、1980年のウインブルドン選手権の男子決勝戦。5連覇をかけたビヨン・ボルグと、飛ぶ鳥を落とす勢いでのし上がってきたジョン・マッケンローの死闘を、ボクは深夜にリアルタイムで見てしまった。そして感動して泣いた。
そのときの試合が、なんと映画になっていた。
『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』(原題:Borg vs McEnroe )という2017年のスウェーデン、デンマーク、フィンランドの合作映画。
どのような試合展開になるのかを知っているのに、最後まで本気で興奮して見てしまった。もちろん試合だけでなく、ビヨン・ボルグとジョン・マッケンローがどうのような少年時代を過ごし、テニス選手として大成していったかが同時に描かれている。
そしてその行き着く先が、この決勝戦という構成。それゆえ、どちらの味方もしてしまう。演出として面白かったのは、ビヨン・ボルグが登場するときは静かな音楽が流れるけれど、ジョン・マッケンローが登場すると激しいロックがBGMになる。あまりにハマりすぎて、本気で笑ってしまった。
この映画がうまいと思ったのは、二人を対照的に描いただけじゃないこと。ジョン・マッケンローが悪童と呼ばれたのは有名で、試合中に審判に暴言を吐いたり、ラケットを壊すことで知られている。そのあたりをジョン役を演じたシャイア・ラブーフは完璧に演じていた。やっぱすごい俳優さんだわ。
ただビヨン・ボルグも少年時代はマッケンローと同じだった。だけど試合で勝つためにクールでいることを身につけただけ。つまり二人は同じ短気な性質を持っている。
ところがこの決勝戦のマッケンローは紳士であることに徹している。どんなに不利な判定をされても怒らない。このあたりの二人の微妙な変化が、映画ではとてもうまく表現されていた。何度も見たくなるような、とても素敵な映画になっていたと思う。
そしてエンドロールに流れる本当の二入の写真が最高。ウルウルしてくるよ。もしこの試合がどんなものだったか知らない人は、ぜひともこの映画を観て欲しい。そうすればテニスというスポーツにハマってしまうはず!
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