睡眠の理由より大切なもの
人間が眠ったり夢を見る理由として、絶対的なことはわかっていない。眠って休息を取るということは実感としてわかる。夢が記憶の整理だということも説得力がある。だけどそれらは推論に過ぎない。動物はなぜ眠るか？ 人間はなぜ夢を見るか？ これらについて明確な答えはない。
とにかく睡眠に関しては、脳が保有する機能として説明されることが多い。ところがそんな仮説をぶっ飛ばす研究結果が出ている。
睡眠のメカニズムは脳の進化に先立つ可能性、生物は睡眠状態がデフォルトかもしれない
リンク先の記事によると、最新の研究では脳のない生物でも眠ることが証明されているらしい。つまり睡眠という機能に、脳の存在は関与していないということ。ヒトデやクラゲのように脳が存在しない生物も眠っている。
日本の九州大学の研究によると、ヒドラが睡眠を取ることがわかり、睡眠薬の効果が認められたとのこと。睡眠に関わる遺伝子が発現していることも確認されている。これを受けて研究者は、以下のようなことを提唱している。
「動物が脳の進化よりも先に睡眠をメカニズムレベルで獲得していた可能性」
これって衝撃的だよね、脳が登場するより前に、生物は睡眠することがデフォルトだった可能性が高い。アメリカの研究者も、「私たちは睡眠を進化させたのではなく、覚醒を進化させたのだと思います」と述べている。
脳が進化して学んできたのは、眠ることでなく起きていること。覚醒して活動することを、脳の進化と共に伸張させてきたと見られている。リンク先の記事を読んで、昨日の朝に書いたボクのブログを思い出した。
生物の基本は死なないこと。細菌は条件さえ整えば不死の生物。だけど生物の歴史における新参者は『死』というものを取り入れるようになった。昨日のブログとこのブログに内容を重ねてみると、ワクワクするものを感じてしまう。
（１）生物の基本は『不死』なのに、人間を含めた動物は『死』を創設した。
（２）生物の基本は『睡眠』なのに、人間を含めた動物は『覚醒』を創設した。
精神世界では、『死』と『睡眠』を同義として捉えることが多い。その観点から（１）と（２）の文章を見ると、互いの主張を打ち消すように正反対の行動を取っているのがわかる。これはかなり興味深い。
この図式からボクの脳裏に浮かんだのは、複式簿記の構造。簿記を知っている人なら貸借対照表を思い浮かべてほしい。左の借方には資産項目があり、右の貸方には負債と資本項目がある。借方と貸方の合計は、当然ながら同じ数字になる。つまり差し引きすれば『ゼロ』になるということ。
『生』と『死』、『睡眠』と『覚醒』という生物の関係において、そこに複式簿記のような構造が見える。（１）と（２）の内容が交差することで、両者を差し引きすれば『ゼロ』になってしまう。ボクはこんな数式が頭に浮かんだ。
（生＋死）×（睡眠＋覚醒）＝（無）
とても意味深な数式。とにかくリンク先の記事を読んで感じたのは、人間が眠る理由を調べるより、覚醒している理由を追求するほうがいいのかもしれないということ。
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