中国の最強兵器は経済依存
ボクが子供のころ、アメリカとソ連の冷戦が世界を不安に陥れていた。キューバ危機などは、核戦争の一歩手前だった。でもそれから半世紀近くが経過して、世界の構図はすっかり変化している。
ソ連の崩壊によってロシアが復活した。もちろんいまでもアメリカに対抗する国家であることに変わりない。だけどそのロシアを押しのけてアメリカと競い合っているのが中国。いまやアメリカと中国は、21世紀の冷戦を展開しつつある。
アメリカは同盟国の支持を集めることで中国を牽制している。先日初めて行われたオンラインの民主主義サミットに、中国とロシアは招待されなかった。ところが台湾には声をかけている。さらにアメリカは来年の北京オリンピックに対する外交ボイコットを決定した。
カナダ、オーストラリアが続き、イギリスもその意志を表明した。日本でも昨日から動きが出ているので、おそらく年内にはアメリカに追随する事になるだろう。そんな動きに対して中国は抗議している。そして先日、中国関係で嫌な雰囲気のニュースが流れた。
台湾を見捨て「中国に付いた」ニカラグア…中国の外交圧力は強まっている
台湾と外交関係を結んでいたニカラグアが、台湾との断交を決定した。ニカラグアの外務大臣は以下のように述べている。
「ニカラグア共和国は、中国は世界にひとつしかないと認識していることをここに宣言する」
「中華人民共和国は、中国すべてを代表する唯一の正当な政府であり、台湾は、譲渡できない中国領土の一部である」
「ニカラグア共和国は本日、台湾との外交関係を断ち、あらゆる正式な結びつきを終了する」
もちろんこのような事態に至ったのは、中国による圧力が背景にあるから。わかっているけれど、言語化できない不穏で不快な空気を感じてしまう。中国は核兵器を所有する軍事大国。だけどこの国の最強兵器は、他国を中国に対する経済依存体質へと誘導することだと思う。
その証拠に、昨日のNHKである事実が報道されていた。WTO(世界貿易期間)に加盟して20年となった中国は、加盟国でトップの貿易額とのこと。軍事大国だけではなく、経済大国としても世界に知られている。
発展途上国や経済危機を抱えている国にとって、経済を支配されるのは麻薬に取り憑かれるのと同じ。中国にそっぽを向かれたら、麻薬の禁断症状のようなことになってしまう。それゆえ中国に忖度するしか道がない。軍事力で脅されるより、経済的な依存体質にされるほうが厳しいかもしれない。
リンク先の記事に、そんな例が紹介されている。リトアニアが事実上の大使館となる台湾の施設を首都に置くことを決めた。すると中国はリトアニアとの外交関係を「大使級」から「代理大使級」に格下げした。さらに中国企業をリトアニアから撤退させている。
国際法に触れる行為でなければ、こうしたことは大っぴらにやることができる。外交の切り札としては仕方ない部分があるけれど、中国のやり方はあまりに露骨過ぎるようにしか思えない。放置すればもっと悲惨なことが起きるような気がする。
なぜなら経済依存が最強兵器として効果をもたらすのは、強大な軍事力が背景としてあるから。いつ牙を向けられるかわからない、ということを忘れてはいけないと思う。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。