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ポール・マッカートニー、東京ドーム公演での不愉快な出来事

昨夜、僕は、ポール・マッカートニーの「OUT THERE JAPAN」の東京ドーム公演初日を観に行った。

 

僕が、この日をどれだけ待ちわびたか、多くを語るつもりはない。

 

ただ、僕は、今回の人生は、ポール・マッカートニーの音楽(もちろん、ビートルズを含む)を聴くために生まれてきたと思っている。

 

この言葉だけで、2013年11月18日が僕にとってどれほど重要な夜だったかがおわかりいただけると思う。

 

そして、ついにポール・マッカートニーが姿を現した!

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僕は、一夜明けて、その瞬間の記憶が飛んでいるが、相当な興奮状態であったことは想像に難くない。

 

ちなみに僕は、本日、19日と明後日21日の3公演を観に行くが、昨日のチケットは大外れだった。

 

残り2日は、アリーナ席の前方だが、18日の席だけは残念ながらスタンド席だった。

 

まあ、これは抽選だからしかたがない。

 

 

僕の席は、通路のすぐ横。

 

一緒に行った友人の話によると、僕はポール・マッカートニーの登場と同時に立ち上がり、「Eight Days A Week」が始まった時には、通路で歌いながら手拍子をしていたらしい。

 

中学の時、ギターで一生懸命コピーした大好きな曲。

 

その曲が終わって、僕が現実に戻った時に事件は起きた。

 images

 

斜め後ろの席の男性が、手を伸ばして僕の肩をつかんできた。

 

そして言った。

 

「お前が立つと、彼女が前が見えないんだよ!」

 

真後ろを見ると、女性が不機嫌な顔で、座ったまま僕を睨みつけている。

 

自分で言うのもなんだが、「温厚」とは僕のためにある言葉だと思っているくらいだが、一瞬にして頭に血が上った。

 

スタンド席とはいえ、あのポール・マッカートニーの11年ぶりの東京ドーム公演である。

 

多くの観客は、ポールの登場に興奮して立ち上がり、手拍子をしていた。

 

僕は、100%、自分は悪くないとの自負があったので、男を無視して女性に言った。

 

「それなら、あなたも立ったらどうですか? 曲によりますが、悪いですけど、僕、座りませんよ」

 

すると、男が再び激怒。

 

「彼女は足が悪いんだ! 立てないんだ! だから、お前が座れ!」

 

彼女がなぜ立てないのかはわからない。障碍を負っているのか、怪我をしているのか(ちなみに、僕も足を骨折しているが)

 

ただ、事情は理解した。

 

そこで僕は、彼女に一言、謝罪の言葉を述べて、彼女の隣に移動した。

 

これなら彼女も、少なくとも僕が邪魔になることはない(もっとも、ほかの観客も立っているので、それで彼女の前の見晴らしがよくなるわけではないが)。

 

「通路横の席でよかった」と思った。

 

そして、彼女の隣で手拍子をしたり、ポールと一緒に歌ったり、「ポール!」と叫んでいると、何曲か後に、再び男のいちゃもんが。

 

「彼女、お前がうるさいって言ってるぞ。座って静かに見ろ!」

 

この言葉に、僕は、怒りではなく、「理解不能」という感情に襲われた。

 

は? あの、僕、クラッシックのコンサートに来たわけでも、テニスの応援に来たわけでもないんだけど。

 

ロックコンサートに来たんだけど。

 

そう、思ったら、再び、怒りが襲ってきた。

 

「俺がうるさいなら、お前らが席を移れよ!」

 

僕のこの言葉に激高した男は、僕の胸ぐらをつかんできた。

 

生まれて一度も人を殴ったことのない僕だが、ついにその瞬間が来たと思った。

 

よりによって、それがポールのコンサートでなんて。

 

 

だが、僕がその男を引き寄せた時、僕と一緒に観に行っていた友人が僕を止めた。

 

「あっちゃん。やめな! 今日は、あっちゃんが譲りなよ。いいじゃん。あと2回観れるんだから、今日は座っておとなしく観よう」

 

その一言で男を引く手を緩めた僕だが、怒りは収まっていない。

 

座って観よう・・・って。Lady MadonnaやObLaDi ObLaDaを立って観ることも、一緒に歌うことも許されないのか。

 

ただ、次の友人の一言で、僕は観念した。

 

友人は、男と、足の悪い女性を睨みながら、「今日は外れくじ引いちゃった。まあ、人生にはそんな日もあるか」

 

そう。友人も怒っていたのだ。

 

そこで僕は、椅子に座り、その後の2時間以上、黙々とポールが歌う姿を見つめ続けた。

 

今日は外れくじだ、と思いながら。

 

 

足の悪い彼女が、僕が観念して椅子に座った時の一言は、永遠に忘れないだろう。

 

「最初からそうしてればいいんだよ。こっちは足が悪いんだ」

 

 

ふと僕は、自分の作品、「クワガタと少年」を思い出した。

 

これを見て、彼女とその男はどう感じるだろう?

 

まあ、なにも感じないと思うが、これが僕からの反論であり、プレゼントだ。

ちなみに、コンサートが終わると、その女性は骨折している僕よりもはるかに軽い足取りでスタンドの階段を上って行った。

 

単に座って観たかったために障碍者を演じていたと知って、あまりのモラルの低さに、怒りすら湧かなかった僕であった。

 

 

『エブリ リトル シング』第一話、「クワガタと少年」

 

 

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大村あつしプロフィール

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大村あつし

1996年8月にエーアイ出版より『Excel95で作るVBAアプリケーション〜 VBAで作る販売管理システム〜』でITライターとしてデビューしたが、2007年6月にゴマブックスより出版された『エブリ リトル シング〜人生を変える6つの物語〜』で小説家に転身。まだ、IT書籍の執筆は一部、続けているが、現在の活動は小説が中心となっている。

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