歴史の影に隠れた人たち
神戸の午後はすっかり雲に包まれて、時折小雨が降っているようです。明日には雪に変わるかもしれません。
午前中のブログで書いた駅伝を見ていましたが、まだ京都のほうが晴れ間が見えていたように感じました。それにしても面白い駅伝でした。優勝から4位までが4秒差で、短距離走かと思うほどの熾烈なトラック勝負となりました。
現代のスポーツは基本的に勝ち負けを決めなくてはいけません。そしてどうしても、勝者と敗者という目線で結果をとらえてしまいますね。個人的にはテレビ番組の企画でやっている「SASUKE」のような、可能性としては全員がwinnerとなれる競技が好きです。
しかしそのような勝者を決める駅伝ですが、最後まであきらめないことの大切さを教えてくれたレースでした。2位の京都も頑張りましたが、優勝した大阪の選手は本当に素晴らしかったです。勝利の栄誉を満喫する価値のある選手たちだと思います。
さてスポーツではありませんが、世界的に栄誉を受けてもいい成果をあげた科学者が、歴史の影に隠れていたという本を読みました。
『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』サイモン・シン著 という本です。
先日「フェルマーの最終定理」に関する本を紹介しましたが、同じ著者が書いた本です。前作があまりに面白かったので図書館で予約しました。
かなりの文字数が詰まった分厚い本ですので、この本を読了するのに4日ほど費やしてしまいました
しかしメチャメチャ面白い!前回の本よりもさらに脳が刺激を受け続けた本でした。簡単に説明しますと、暗号の歴史が紹介された本です。古代ギリシャの時代から、中世、そして二度の世界大戦、さらに現代に至るまでの様々な暗号について記されたものです。
おそらくこの本を一冊読むだけで、世界で実際に使われている暗号の仕組み等が理解できると思います。昨今話題になっているBitcoinの「公開鍵」や「秘密鍵」についての仕組みも、Bitcoinの本を読む以上にその根本的な仕組みが理解できました。物語に使えそうなネタが満載です。
この本で印象的だったのは、普通なら世界中が大騒ぎするような発見や発明をした人物が、歴史の闇に隠されていたという事実です。なぜなら人類の歴史において暗号は戦争に利用されてきたからです。だから公にすることができなかったのですね。
世界をアッと言わせるような暗号を発明した暗号製作成者が登場すると、さらにアッと言わせる方法で暗号を解読する暗号解読者が出現します。まさに天才と天才のぶつかり合いです。その歴史の流れを見ているだけで興奮してしまいました。
それらの暗号を使ったシステムは、現代のネット社会では欠かせないものとなっています。歴史の裏舞台で活動してきた人の成果が、今の私たちがネットショッピングをしたりすることに利用されているのです。軍に所属する暗号作成者が誰よりも早く実用化できる理論を構築しても、守秘義務を課せられているために特許が取得できません。その数年後に一般の学者が同じ理論の特許を取って大儲けしているのを、黙ってじっと耐えている人たちがいました。
最も印象的だったのは太平洋戦争中の日本とアメリカに関するものです。アメリカは日本の暗号を解読するのに成功していました。ただし自分たちも暗号で命令を発信する必要があります。そのためにアメリカが考えた暗号が、とてもシンプルなものだったのです。
アメリカの先住民にナヴァホ族という方たちがいるそうです。その言語体系はかなり特殊なもので、理解できるのはごく少数の人だけでした。司令地と前線にそのナヴォホ族の人を配置して、その民族の人を通じて司令をやり取りしたそうです。その言葉は日本人にとって、一般的な暗号よりも理解不能だったとのこと。
その民族の活躍によってアメリカは勝利したのですが、守秘義務によりその民族の貢献が公に認められてたのは戦後かなり経過してからのことだそうです。とても興味深い話でした。
これからは量子コンピュータと量子暗号の時代になるとか。もしかしたら公にされていないだけで、歴史の裏側では既に実用化されているかもしれませんね!
『夢で会える 体外離脱入門』は在庫僅少ですので、お求めの方はハート出版さんや書店に問い合わせてください。Amazonでの注文はこちらです。
『ゼロの物語』3部作は電子書籍のみの販売となりますので、こちらのホームページから販売サイトに行ってくださいね。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする