何が有害で、何が誹謗中傷?
毎日朝のブログを書く前には、自分なりの意見をまとめるようにしている。
だけど今日のテーマは無理。眠る前から明け方まで考えてみたけれど、答えが見つからない。
どんな答えを出したとしても、それに対する反論が思い浮かぶ。明確な線引きができないから、禅問答のようになってしまうのだろう。
フランスで有害コンテンツを1時間以内に削除するよう企業に求める法律可決 「表現の自由が死んだ」「独裁」と批判続出
フランスが、先月にある法律を可決した。それはタイトルのとおり。Facebook、YouTube、Twitter等の投稿に関して、有害だと認められたコンテンツは1時間以内に削除するよう求めることができる。違反した場合は、最大で1億円以上の罰金が科せられる。
さらにそれ以外の有害コンテンツに対しても、24時間以内の削除要請ができるとのこと。この法律に対して、フランスの国民が非難の声をあげている。ボクもたしかにやり過ぎだと感じる。
有害コンテンツを削除することに異論はない。ただ1時間でそれが判定できるのだろうか? そして誰が、どのような基準でそれを判定するんだろう?
つまり有害と無害の境界線に関して、どのような『物差し』を有しているのか不安。政府機関が関与するそうだけれど、「表現の自由が死んだ」という国民の声が出るのは当然だと思う。
客観的に見て有害だと判定できるものはある。だけど微妙なものも相当数あるはず。1時間で削除の対象となるのはテロリズムと児童ポルノに関するもの。だけど投稿の内容をじっくり読み込まないと怖い。禁止ワードだけでチェックしていたら、それらを批判する投稿でさえ削除対象になってしまう気がする。
さらに拡大解釈すれば、政府批判の投稿を削除することもできる。中国では実際にやっていること。有害コンテンツに対して罰則を与えることは必要だと思う。だけど権力者に悪用されるリスクも高い。
いま日本でも同じことが起きている。ある女性の死をきっかけにして、SNSでの誹謗中傷に対する法的な罰則や規制が検討されている。ボクもそのことには賛成だし、必要なものだと思う。
だけどここでまた同じ疑問にぶつかってしまう。どこまでが誹謗中傷で、どこまでがそうでないのか? 誰が、どのように判定するんだろう?
ボクが心配しているのは、デマを流布する人たち。明らかなデマを流しておいて、それを批判したり事実を明らかにしようとする人の投稿を、『誹謗中傷』扱いする可能性がある。
『投稿者に対する批判=誹謗中傷』という安易な図式にするのは非常にマズいと思う。
けれども、誹謗中傷は人間の命を奪う。これは暴力以外の何ものでもない。だから匿名で他人を苦しめる人間に対しては、なんらかの対応が絶対に必要だと思う。事実、法制化される意向が発表されただけで、誹謗中傷していた相手に謝罪している人が増えている。
とまぁいろいろ考えてみたけれど、答えが見つからなかった。善悪の概念と同じく、明確な線引きをするのは無理なのかもしれないね。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする