大麻は法の矛盾を正すチャンス
人間は法律によって刑務所へ送り込まれたり、罰金を課せられたりする。そんな人生を左右する法律は、同時に矛盾を抱えている。法律を定めるのが人間である限り、常にどこか是正するべき部分が残るのは致し方ない。だからこそ矛盾が明らかになった時点で、それらを正していくべき。ところがどうもうまくいかない。
法律でギャンブルは禁じられている。なのにパチンコにおける景品の換金は、グレーなまま放置されている。公営ギャンブルの位置付けも微妙。どう考えても既得権益者を守っているとしか思えない。
そしてグローバルな視点で見た場合、微妙な立場にあるのが大麻に関する法律。世界的には医療用だけでなく、嗜好用の大麻が合法化されつつある。ところが日本においては、さらに規制を強めようという動きになっている。
ボクは大麻に関しては中立。覚醒剤のような扱いにすることに違和感はある。といって何がなんでも合法化するべきだとも思わない。ただ法律としての矛盾が残るということがスッキリしない。他国で容認されているものが、なぜ日本でダメなのか? この部分に妙な引っかかりを覚えてしまう。
そんな大麻に関する興味深い記事を読んだ。
大麻の依存症は8.3%、日本初の大規模調査で判明 「おおむね健康に暮らせている」
SNS を活用することで、医療従事者を中心としたグループが大麻に関する大規模な調査を実施した。リンク先の記事はその結果をまとめたもの。これがなかなか興味深い。最初に驚いたのが、日常で大麻を経験している人がかなり多いということ。
4000件以上の有効回答があったことにびっくり。どこへ行けば大麻が手に入るんだろう? ある意味カルチャーショックを受けている。
大麻というのは依存性が低いと言われている。その事実を証明するかのように、依存症と呼ばれる状態(大麻使用障害)の人は全体の8%ほどしかいない。残りの9割以上の人が依存症になることなく大麻を使っているということ。
不安や吐き気、妄想、無気力等の不快な症状があった人は38%ほどで、救急車を呼ぶような事態となった人は0.1%しかいない。幻覚や統合失調症のような精神障害の症状がある人は経験者の1.3%ほどだった。
この数字だけを見ると、やっぱり大麻は怖いと思う人がいるかもしれない。だけど他の要因と比較することで、大麻に対する感覚が変化すると思う。例えばアルコールを例にすると、依存症状態になる人は25%という桁違いの数字になる。大麻よりお酒のほうが明らかにヤバい。
精神疾患に関しても、大麻との関連は不明。大麻の使用に関わらず。この程度の数字は出てくるらしい。だけど大麻を否定したい人は、この部分を強調することで脅すことは可能だろう。
お酒が成人にとって合法なら、大麻が合法であっても不思議ではないというデータだった。ゼロリスクなんで意味がないから、お酒でも大麻でもトラブルが起きる可能性はゼロじゃない。だけどアルコールに比べて特に大麻に不利な要素があるように見えない。
それゆえ海外では合法化が進んでいるのだろう。日本が大麻使用に抵抗するならば、このデータを覆すだけの論拠が必要になる。だから大麻について議論することは、こうした法律の矛盾を正すチャンスになると思う。いまの政治家にそれを期待するのは難しいかもしれないけれど。
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