明晰夢で悪夢を止める?
夢というのは不思議で、楽しい夢もあれば、悪夢でしかないものもある。興味深いことに、楽しい夢は散発的にしか見られないけれど、悪夢はくり返されることが多い。同じパターンの悪夢がくり返されると、あぁまたか、とゲンナリする。
ボクの悪夢はパターンが決まっている。銃で撃たれたり、暴漢から逃げるというものもある。だけどそれはくり返されるというほどじゃない。ボクが何度も見る悪夢は、ちょっと雰囲気がちがう。
もっとも多いのは、給料の支給日なのに給与計算も、銀行への振り込み依頼も、資金繰りもできていないという夢。これはマジで焦る。経理や財務の仕事をしていたので、同じ職種の人ならその恐怖をわかってもらえると思う。
それに匹敵するくらい多いのは、税理士事務所での夢。担当先の申告期限が過ぎているのに、決算も税額計算もできていない。それどころか、顧問先との連絡さえ忘れていたという夢。これまた全身に汗をかくほどボクにとっては最悪の夢。
つまりパターンとしてまとめると、ボクの杜撰な行動によって他人に迷惑をかけてしまうという悪夢。このパターンがいまだに何度もくり返されている。そんな連続する悪夢を止める方法があるらしい。
喜んで記事を読んだけれど、結果的にガッカリ。リンク先の記事の主旨は、悪夢を止めるには、夢を使うという方法。もっとも効果的な方法として、明晰夢を見ることで悪夢をちがう夢に変えてしまうというもの。
この段階で、失笑するしかなかった。頻繁に明晰夢を見ているボクにすれば、そんなことで悪夢を止められるとは思えないから。明晰夢や体外離脱の場合、その行為に関する恐怖を克服することは可能。
潜在的に抱えている恐怖が、明晰夢や体外離脱によって具現化することがある。でもそのことを自覚していれば、その恐怖を昇華することはできる。ボク自身が何度も経験しているので自信を持って言える。
だけど悪夢を止めるのに、明晰夢は役に立たない。その理由は大きく分けて2つある。
その1つは、くり返される悪夢は明晰夢にならないということ。何度もくり返される悪夢の原因は、掃除をさぼったガスレンジの油汚れのようにこびりついている。だから客観的な視点を持てず、その出来事に翻弄されてしまう。
ボクの場合なら、過剰な焦りによって冷静さを失い、それが夢だと気づけない。何度も眠る前に言い聞かせて意識しているけれど、いまだに成功したことはない。殺されそうになる単発的な悪夢なら、それが夢だと気づいて世界を変えることは何度も成功している。
もう1つの理由は、悪夢の原因は現実世界にあるということ。現実世界で抱えている問題を解決しない限り、どれだけ夢を変化させても悪夢は止まらない。ボクの場合だと、自分の怠慢による他者への迷惑という恐怖が根強いので、それが解消されない限り悪夢を止めることはできない。
夢はあくまでも、現実世界の問題を映像化してくれているだけ。だから根本的な対処をしない限り、悪夢は消えない。つまり対処する舞台は、夢ではなく現実世界だということ。夢は自分が抱えている問題を教えてくれているだけで、現実世界において正面突破するしかないと思う。
まぁ、それができていないから、いまだに悪夢を見るんだろう。救われるとしたら、目が覚めたときに「あぁ、夢で良かった」という安堵感だろうな。
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