ガストンとの対話 Vol.11
ガストンさん、昨日はあなたの正体を知っている方とお会いしたので、あなたの噂で盛り上がりましたよ!
「わはは、頭が二つもあるから、どっちを見て話していいかわからんとか言っていたのであろう。今日は何を聞きたい?」
先日テレビで宇宙から見たオーロラの映像を見ました。美しくて神秘的だったのですが、その壮大さに比べて自分という存在がちっぽけなものに思えたのです。その感覚はどこからくるのかと思いまして……。
「なるほどな。それは「わたしとは誰なのか」という問いによって明確にされる。お前さんが初めて会う人間に自分を説明するとき、どうする?」
年齢、性別、出身地、過去の職歴や趣味等ですね。親しくなれば自分の長所や短所も説明するかもしれません。いろいろな思考が浮かびますね。
「その思考が起きるとき、シンプルなプロセスが発生する。お前さんが自覚しようとしまいと、その経験のなかに、ある境界線を引いているのだ。その境界のこちら側にあるものを「自分」とよび、その境界の外側にあるものを「自分でない」と呼んでいる」
境界線ですか……。犯罪ものの海外ドラマで、犯罪現場に張られた侵入禁止の黄色いテープをイメージしますね。
「面白いイメージだな。ではそのイメージを膨らませてみよう。お前さんは人間であって、目の前にあるテーブルではないな。そこに境界線を引いている。イメージできたか?」
はい、黄色いテープを張りました。
「では人間で見てみよう。目の前に女性、あるいは外国人がいるとする。もうそれで二つのテープが増えたであろう。同じように「自分」を証明することになるテープを思いつく限り張り巡らせてみなさい。さぁ、どんなふうに感じる?」
とても苦しいです。私の周囲が大量の黄色いテープで溢れています。身動きできなくて前が見えず、周囲と隔絶された深い孤独を感じます。
「なぜ自分がちっぽけに思えるかわかったであろう。自分で自分を制限しているからだ。「わたしとは誰なのか」という問いは、「わたしはどこに境界線を引くのか」という問いと同じなのだよ」
あぁ、この黄色いテープを取り外したくなります! ここから飛び出て自由に羽ばたきたい気分です。
「それでいい。現在の人類が進もうとしている方向は、その境界線を取り外すことだ。いくつもの人生をかけて重ねてきた無限大の境界線を、取り払うことで目覚めが起きる。その気持ちは正しい感想だ」
自分で創り出した境界線ですから、自分で取り外すことができるはずですね。
「そうだ。その境界線を取り外して、「自分」をシフトさせることができる。魂の地図を書き直して、今まで思いもしなかった領域を発見することが可能だ。お前さんが体験できる究極的な書き直しは、お前さんの至高の自己を経験することだ」
そうすると、どのようになるのでしょうか?
「お前さんの境界線は、全宇宙を包含するまでに広がるであろう。あるいは境界線を全く失ってしまったと感じるかもしれない。そのとき境界線の内側も外側もない。一つの「調和した全体」があるだけだ」
う〜〜ん、深過ぎて理解できません。あっ、言葉や文字で理解していはいけなかったのですね〜〜
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