ワクチン証明が分断するもの
子供たちの夏休みが終わろうとしているのに、コロナ禍は終わりそうにない。感染者数は高止まりしているように見えるけれど、検査数に限界があるから参考にならない。
デルタ株は子供たちにも強い感染力を持っているので、二学期のスタートと同時に様々な問題が発生しそうな予感がしている。とにかく不織布のマスクは必須で、以前のように会食することは難しい。そんな生活がコロナ以前と変わらないボクのような人は、まちがいなく少数派だろう。
ただこのままだと完全に経済が死んでしまう。そこでワクチン接種の進行に伴って注目されるのがワクチンパスポート。ヨーロッパではワクチン接種証明の提示が義務化されつつある。その様子を知ることができれば、これからの日本の状況が予測できると思う。
イタリアでは今月の6日からワクチン接種証明書の提示が義務化された。イタリアではグリーンパスと呼ばれている。ネット等で申請してダウンロードできるそう。リンク先の記事はイタリア在住の日本人の方が書いたもので、とても興味深い内容だった。
グリーンパスがないと、レストランやバール、映画館、美術館、ジムなどが利用できない、飛行機にも乗れない、コンサートやサッカー観戦にも行けない。それは街の小さな飲食店でも同じ。
記事の著者が街のカフェに朝食を食べに行くと、店内で飲食するならグリーンパスが必要だといわれた。顔馴染みでも例外はない。カウンターでコーヒーを立ち飲みする程度なら大丈夫らしい。
レストランの予約に関しても、グリーンパスの有無を尋ねられる。12歳以上には適用されるので、グリーンパスを持っていないと面倒で仕方ない。どのような人がグリーンパスを取得できるのか、記事から抜粋してみよう。
『抗Covid-19ワクチンを2回、または1回終えている人、48時間以内にPCR検査で陰性が証明された人、6カ月以内にコロナから回復した人に発行される』
ワクチンを接種していない人でも発行される。ただし48時間ごとにPCR検査を受けなくてはいけない。だから実質的にはワクチン接種を済ませた人のものだということがわかる。これが世界の現状だということ。
感染が収束するとは思えないので、日本でも似たような状況になってくると思う。ワクチン接種が任意だとはいえ、接種していない人は確実に不利益となる。そのことも了解したうえで、ワクチン接種に関する是非を判断しなければいけない。
ただワクチン証明書に効果があるかどうかは疑問。証明書が義務付けられたイギリスの音楽フェスでは、1000人以上の陽性者が確認されている。ワクチンを接種しているから重症化はしないだろうけれど、ウイルスをばら撒くことに変わりはない。偽造証明書の所持者が紛れ込んでいる可能性もあるかも。
イタリアのグリーンパスに関しては、すでに偽造された事例も発生している。もちろんバレた場合は法的な罰則が適用されている。日本でもワクチンパスポートの申請者が増えてくるだろうけれど、偽造対策も含めて様々な対応が必要になってくると思う。
そして気になるのがワクチン証明が分断するもの。リンク先の記事の著者もそのことに触れている。それは人間関係。
職場の人たちや、親しい友人たちと飲み会をする場合、パスポートの提示が義務化となると面倒なことになる。パスポートを持っていないことで、その仲間から外れざるを得ない。それまでは普通に仲良くしていたのに、証明書の有無で人間関係が分断されてしまう可能性がある。
日本で義務化になるかどうかはわからない。ロックダウンさえできない社会だから、義務化は難しいかも。だけどワクチン接種者と未接種が二極化するのは避けられないと思う。なんだか生きづらい世の中になりそうだね。
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