安楽死の是非を問う秀作
少し前に観た作品で、予想外の展開に号泣させられた素晴らしいクリスマス映画がある。『ラスト・クリスマス』というタイトルで、有名なワムのクリスマスソングをモチーフにした内容。もし一度も観たことがない人がいたら、おすすめなのであの感動を体験してほしい。
その映画で主演していたのがエミリア・クラークというイギリスの女優さん。美人というよりは、三枚目的な役柄が似合う女性。どこかコミカルな雰囲気があって、親しみやすさを感じさせてくれる。とにかく笑顔を観ているだけで元気をもらえるという、ポジティブな癒し系の女優さんだと思う。
そして演技も素晴らしい。明るい雰囲気からのギャップが印象的で、シリアスなシーンになると見入ってしまう。そのエミリア・クラークが主演した作品を観て、またまた感動で泣かされてしまった。そして切なさを感じつつも、元気をもらうことができた。
2022年 映画#41
『世界一キライなあなたに』(原題: Me Before You)という2016年のイギリス・アメリカ合作映画。安楽死をテーマにした作品なので、とても重い。観る人によっては辛さのほうが勝ってしまうかもしれない。
だけど安楽死について真正面から取り組んだ脚本で、フィクションとしての予定調和を採用しなかったことに好感を持った。それだけに切なくて悲しいけれど、もしハッピーエンドにしていたら、評価されることのない作品だったと思う。
主人公のルーは、イギリスの田舎町に暮らす26歳の女性。不景気で苦労する家族に代わって、自分の夢をあきらめてウエイトレスとして稼いでいた。だけどそのカフェが閉店することになり失業してしまう。必死で仕事を探していたとき、ある高給の仕事を見つける。それは介護の仕事だった。
ルーが担当することになったのは、元実業家で古城で暮らす資産家のウィルという青年。2年前にオートバイにはねられ、脊椎損傷の重傷を負って四肢麻痺となっていた。首から下に感覚がなく、常に痛みと感染症に苦しんている。それまでの人生を諦めることになって、ウィルは塞ぎ込んだ日々を過ごしていた。
ルーの契約期間は6ヶ月。仕事は医師の指示に従って、ウィルのそばにいること。最初は心を閉ざしていたウィルだけれど、いつも変な服装で、変なことばかり言っているルーに笑顔を見せるようになる。そして少しずつ二人は惹かれあっていく。
ウィルには恋人がいたけれど、事故にあったことで親友に奪われてしまう。その結婚式にルーとウィルは出席して、車椅子のウィルとのダンスを見せつける。それが先ほどの写真のシーン。さらにウィルを笑顔にするこんなシーンもあった。
だけどルーはある事実を知ってしまう。ウィルは生きていることに耐え切れず、安楽死が認められているスイスに申請を出していた。そしてウイルの状況はひどく、安楽死が認められた。ルーの契約が6ヶ月だったのは、ウィルの両親がその期間のあいだに息子を説得しようとしたから。
そこでルーは計画を練り、ウィルを笑顔にすることで彼の決心を変えようとする。そしてついに「きみは僕の元気の源だ」とウィルに言わせる。だけど彼の意志は変わらなかった。そこから紆余曲折があるけれど、ウィルの最期を見届けるため、ルーはウィルの両親が待つスイスへ向かう。
ウィルに生きてほしいと願うルー。ルーに自由な人生を歩んでほしいと願うウィル。最終的にウィルは死を選んだけれど、ルーがお金に縛られず、自由になれるようにと彼女に遺産を残した。いま思い出しても、切なくて泣けてくる。
この映画を観て、ボクはエミリア・クラークの大ファンになってしまった。もう一度『ラスト・クリスマス』が観たくなってきたなぁ。
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