有事における情報戦略
昨日の夕方、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で演説を行った。戦争の当事国がインターネットを通じて演説をするなんてすごい。ボクたちは歴史的な出来事を目撃したことになる。演説の全文がまとめられている記事を読んで、様々なことを感じた。
「ウクライナへの侵略の津波を止めたい」 ゼレンスキー大統領が12分の演説で訴えたこと【全文】
全文を読んで感じたのは、ゼレンスキー大統領には素晴らしいブレーンがついているか、彼自身が情報戦略の天才のどちらかだということ。あるいは両方かもしれない。
アメリカ向けの演説では真珠湾攻撃を例に出し、ドイツ向けの演説ではドイツ政府の責任を問うような内容だった。日本に対してどのような演説がなされるのか注目されていたが、思っていた以上に穏やかで的確な内容だったと思う。
ロシアによるチェルノブイリ原発への攻撃や化学兵器使用の可能性を訴えることで、原発事故やサリンの恐ろしさを知っている日本人の心に響く構成だった。そして戦後日本の軍事状況を考慮することで、アメリカに依頼したように軍備の支援などは口にしていない。
引き続きロシアに対する経済制裁を依頼するとともに、戦争が終わったあとのウクライナの復興支援を期待しているという内容だった。つまりできないことを願うのではなく、相手ができることを本気で求めている。それだけに日本政府としては、全面的に受け入れるしかないという演説内容だったと思う。
岸田首相はG7に出席するためベルギーへ向かった。ゼレンスキー大統領の演説をふまえて、日本としての協力体制を表明することになるはず。1日でも早く戦争が終わるよう、さらにロシアの理不尽な要求が取り下げられるよう、日本政府は全力でウクライナを支援するべきだと思う。
ゼレンスキー大統領の情報戦略は開放型。多少の脚色や演出はあるだろうけれど、掌握している事実を世界に向けて発信している。それはネット社会という現代において、より多くの共感を得ることができる最適な方法だと思う。
一方プーチン大統領の情報戦略は閉鎖型。国民に対してネットに制限をかけることで、ロシア政府に都合のいい情報だけを流す。これは第二次世界大戦のころの情報戦略と同じで、結果として情報の受け手に対して嘘に嘘を重ねることになってしまう。その結果、恐怖を与えることはできても、信頼を失っていくだけだと思う。
情報戦略に関して言えば、開放型を採用しているゼレンスキー大統領の圧勝だと思う。ちなみに演説の最後で、ゼレンスキー大統領の奥さんであるオレナさんが、目の不自由な子どもたちのためのオーディオブックのプロジェクトに参加したことに触れている。
日本の昔話をウクライナ語でオーディオブックにしたそうだけれど、ネットの情報によるとその昔話は『桃太郎』らしい。だから桃太郎が退治した鬼を、プーチンに例えているのだろうというネットの見解だった。
でもボクの感覚としては、桃太郎こそがプーチンだと思う。一方的に鬼の行動を非難して、鬼ヶ島に攻め込んでいったのは桃太郎と家来たち。これはまさに侵略行為であって、現在のロシアと同じ。もしかしたら鬼が民を苦しめているというのも、鬼の財宝を狙っている桃太郎が流したプロパガンダかもしれない。知らんけどwww
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