肺ガンにならない喫煙者
京都祇園の芸舞妓事務所で働いていたとき、ヘビースモーカーの芸妓さんがいた。80歳を過ぎても現役で、立方(舞をする人)として最長老。芸妓組合長を長期間務めていた方で、当時の祇園の宝のような芸妓さんだった。
事務所にやって来られると、ボクや妻はすかさず灰皿を用意する。タバコを常飲しておられるので、絶対に喫煙されることがわかっているから。灰皿を用意すると満面の笑顔で「おおきに」と言って美味しそうにタバコに火をつける。
あれだけ普段からタバコを吸っておられるのに、病気されることもなく舞台に立っておられた。ちょっと耳が遠いだけで、華奢な身体なのに舞台に立つと大きく見える芸妓さんだった。ヘビースモーカーでも肺がんにならない人がいることをよく耳にする。そんなとき、ボクはいつもこの芸妓さんを思い出す。
近年の研究によって、この芸妓さんのような人たちの存在が認知されているそう。
ヘビースモーカーなのに長生きする人がいるのはなぜなのか?肺がんに対する防御が備わっている
タバコが身体に良くないことは、科学的に立証されている。心臓病、糖尿病、脳卒中のリスクを高め、肺ガンの多くが喫煙を原因としている。ボクも以前はヘビースモーカーで、1日に1箱は普通、多いときは2箱吸っていた。
といっても10代のころの話で、成人してからは吸っていない。だから40年近くはタバコを口にしたことがない。ボクの場合は健康に気を使ったのではなく、吸っていい年齢になったバカらしくてらやめたくなった、というだけのことwww
それでも肺ガンになるリスクは禁煙によって減少しているはず。ところが先ほどの芸妓さんのように、ヘビースモーカーなのに肺ガンにならない人が一定数いる。リンク先の記事で紹介された科学誌の研究によると、一部の喫煙者には肺がんに対する防御が備わっているらしい。
肺ガンになるのは、タバコの煙によってDNAが突然変異するから。ところが1日に1箱という喫煙習慣が23年を超えてくると、突然変異を起こす数が頭打ちになってくる事例があるとのこと。記事から抜粋してみよう。
『 データからは、かなりの喫煙習慣がありながらも長生きする人たちは、突然変異の蓄積をどうにかして抑えているらしいことが示唆されています。ある時点から突然変異が増えなくなるのです。DNAの損傷を修復したり、タバコを無害化したりする巧みな機能が備わっている可能性があります』
具体的な要因はまだ不明らしい。とにかくDNAの損傷を修復したり、タバコを無害化する機能が働くようになる。つまりそのメカニズムがわかれば、肺ガンの治療や予防につながるということ。もっと研究を広げていけば、ガン全体に対する予防や治療に貢献するかもしれない。
ボクのような素人であっても、なんかすごいことが起きているような気がする。23年という長期の影響がポイントかもね。ある日突然、身体に対する攻撃を防御しようという機能が開眼する。そのスイッチがどのようして働くかわかれば、今後の医療に革命が起きるかもしれない。
おそらくあの芸妓さんは、この防御機能が働いていたんだろうなぁ。やっぱすごい人だったんだね。
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