仮想世界の新しいあり方
VR(ヴァーチャル・リアリティ)は日々進化を遂げ、娯楽や医療を含めて様々な分野で応用されるようになった。
そこにはない世界をリアルにイメージさせるだけで、人間の脳は同じ知覚を経験する。ボクが明晰夢で体験した『死のシミュレーション』も、ある意味VR体験だと思う。
そんな仮想世界の効果は、どうやら人間だけではないらしい。
水中スピーカーで流す「生きたサンゴ礁の音」で死にかけたサンゴ礁が回復 生きたサンゴと錯覚した魚たちの回帰により
サンゴ礁の破壊は世界的な課題。有名なグレート・バリア・リーフでも、サンゴ礁の荒廃が深刻な問題となっている。そんなグレート・バリア・リーフのサンゴ礁を回復させるため、イギリスとオーストラリアの研究チームがユニークな実験を行った。
健康的なサンゴ礁は、とても騒がしい場所らしい。「エビがパチパチと音を立てていたり、魚が泳ぎ回る音を立てていたり、華々しい生物学的環境音が鳴っている」とのこと。
そこで荒廃したサンゴ礁に、水中スピーカーを使ってこの音を再現した。VRとは少しちがうけれど、海の生き物にとっては事実とは異なる仮想世界なのはまちがいない。
その結果、魚たちが集まってきた。魚の量が2倍になるだけでなく、魚の種類も50パーセント増加した。そして魚たちが集まることで、サンゴ礁が回復するのが確認されている。
面白いよね。元気なサンゴ礁の音を聞くだけで、魚はそれが事実だと思ってしまう。それほどサンゴ礁が快適な環境だと感じているんだろう。もちろん魚が集まるだけでサンゴ礁が回復するのは難しく、それなりの手を加える必要があるとのこと。人間がこれ以上破壊行為をしないことも重要。
それでもサンゴ礁を回復させる前提として、種類豊富な魚たちが必要不可欠なんだろうね。仮想世界というのは『だまし』ではあるけれど、プラシーボ効果的な側面もあるような気がする。それは自然界にも応用できるのかも。
魚たちが反応したように、植物にもVRが応用できないだろうか? 野菜の栽培に音楽を聴かせる効果というのもあったから、植物たちも理想的な環境のVRを提供してあげると、何らかの反応をしてくれるような気がする。そして結果として、その環境を現実ものとして具現化できるかも。
VRの研究が地球環境の改善に応用されていけばいいな。なんとなくうまくいくような気がする。ただし両刃の剣であることは事実。悪用することも可能だからね。結局は自然を守ろうとする人間の『良心』が、何よりも求められるということなんだろう。
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