台湾の覚悟に日本政府の対応は?
平和の祭典であるはずのオリンピックは、残念ながらその時代における国際社会の問題点が浮き彫りになってしまう。身近なところでは台湾がそう。
台湾を自国の領土であると主張する中国によって、台湾の選手は独立国として参加できない。『チャイニーズタイペイ』という名前で参加し、旗は台湾国旗ではなく五輪をあしらったもの。表彰台で流れるのは台湾国歌ではなく、台湾の『国旗歌』になる。
IOCがこの件に対応できないのは、中国がIOCに強い影響力を持っているから。さらに中国は大金を使って台湾を独立国家として認めない国を増やすことで、自分たちの主張を有利に進めようとしている。
2018年には台湾でそのことが問題となり、スポーツの国際大会で『チャイニーズタイペイ』と名乗ることの是非について住民投票が行われた。結果としてその投票は否決されたけれど、中国は住民投票をしたことが許せない。翌年に台湾で予定されていた国際大会が中国の横槍によって中止となっている。
それでも台湾が独立国家であることを世界に認めてもらうため、東京オリンピックに参加した台湾の選手たちは『台湾』という名前を前面に出してきた。そして蔡英文(ツァイ・インウェン)総統も「#TeamTaiwan」というハッシュタグ付きのツイートで選手の活躍を連日のように祝福した。開会式後にはフェイスブックに「台湾は世界の一員」だという内容も投稿している。もちろん中国は明確に反発しているけれど。
そんな台湾に激震が走っている。それはアフガニスタン政府がタリバンによって転覆したこと。この出来事によって、蔡英文総統はある覚悟を表明した。
中国が台湾を武力で制圧しないのは、アメリカという大国が背後にいるから。さすがに中国政府としては、アメリカと戦争をする気はない。ところがアフガニスタンの出来事は、アメリカという国の本性を見せることになった。
少し前のブログでボクも書いたけれど、朝鮮半島はアフガニスタンと同じ状況になる可能性がある。そしてそれは台湾も同じ。アメリカに見捨てられたら、中国政府は一気に武力制圧してくるだろう。それゆえアメリカを頼りにするだけではダメ、という覚悟を台湾政府が表明した。
蔡英文総統は18日、与党・民進党のオンライン会議で「台湾の唯一の選択肢は、より強大になり、より団結し、よりしっかりと自主防衛することだ。自分が何もせず、ただ人に頼ることを選んではいけない」と述べている。
最悪の場合を想定して、台湾を自分たちで守る覚悟を固めたということ。アフガニスタン情勢を見ていたら、そう考えるのはまっとうなことだと思う。そしてその事実を認めて、政府としての覚悟を表明した蔡英文総統は素晴らしいと思う。
この覚悟を受けて日本政府はどう対応するのだろう? 台湾有事となれば、日本だって巻き込まれてしまう。もし日本がアメリカ頼りの姿勢に固執していたら、何もできずに慌てふためくだけしかできないかもしれない。
アメリカが絶対に守ってくれる、ということは儚い期待でしかないことを自覚するべき。そのためには日本は本気で憲法改正を進めないと、取り返しのつかないことになってしまう可能性がある。日本政府は、台湾政府の覚悟を傍観してるだけではいけないと思う。
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