大切なのは動機より行動
世界的な有名なロックスターが口をそろえて言うことがある。バンドをやろうと思ったのは、女性にモテたかったから。
動機なんてそんなものだろう。だけどその人たちのすごいところは、動機が不純であれ行動に移したこと。能書きばかり垂れ流しても、実際に楽器を手にしなければバンドは組めない。そして必死になって練習しなければ、人前で演奏することは無理。
つまり大切なのは動機よりも行動することであり、さらにそれを続けていくことだと思う。ボクはある映画を観ると、いつもこのことを思い返す。もう10回以上は観ている映画だけれど、今回も行動することの大切さを教えられた。
『Shall we ダンス?』という1996年の日本映画。周防正行監督の映画はどれも好きだけれど、この映画がイチオシかな。ハリウッドでリメイクされるのも当然だと思う。
ちなみに周防監督とは一度だけお会いしたことがある。といっても監督は覚えておられないだろうけれどね。京都祇園の芸舞妓事務所で働いているとき、祇園の取材で事務所に来られたことがあった。
それで少しだけお話ししたことがある。昼食をとる場所を借りたいということだったので、会議室を使ってもらった。何を食べられたかはあえて書かないけれど、それを見てボクは親しみを感じたし、とても好感を持った。
さてこの映画に素晴らしさは、役所広司さんの演技に尽きると思う。順調に出世して、念願のマイホームを持ったばかりの管理職。だけど燃え尽き症候群のようなものを感じている。そんな彼の心をとらえたのが、草刈民代さんが演じる岸川舞という社交ダンスの教師。
あっ、また脱線するけれど、周防監督の奥さんである草刈民代さんもお会いしたことを思い出した。祇園甲部歌舞練場で、いまのお家元である京舞井上流の井上八千代さんとの番組を撮影されたから。たしかバレエダンサーである草刈民代さんが、日本舞踊に挑戦するという企画だったと思う
それで映画の話に戻ると、役所広司さん演じる杉山は、舞に惹かれてダンスを習おうか迷う。社交ダンスに興味があるのではなく、目的は彼女のことが気になるから。つまり動機は不純だった。
冒頭にボクの好きなシーンがある。教室の入り口で、葛藤する杉山がとてもいい。新しことを始めるのは勇気がいる。その勇気が持てず、次の一歩を踏み出せない人は多い。躊躇しながらも勇気を出して行動したことで、杉山には新しい世界が開けてくる。
動機は不順だったけれど、やがて彼は社交ダンスにハマる。このあたりから映画は俄然面白くなる。本気になった杉山が上達していく過程にワクワクする。さらに他の登場人物との関係も深まっていく。
この物語の登場人物は、誰もが問題を抱えている。人生に行き詰まりを感じている。そんな彼らが社交ダンスを通じて、自分を変えていこうと必死になる。ボクがこの映画を好きなのは、そんな彼らに共鳴するから。
いくら頭で考えても、行動しなければ何も変わらない。動機が不純でもいい。とにかく行動すること。そうすれば次に進むべき自分の道が見えてくる。この映画を観ると、いつもそうした勇気をもらうことができる。
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