戦争結果を左右する情報戦
ロシアによるウクライナへの侵攻は、ネット社会を無視できない戦争になっている。ネットがない時代の戦争なら、それぞれの国が発表する情報を頼りにするしかなかった。当然ながらそれらは極端に粉飾されているので信用できない。
ところが現代の戦争は、情報拡散が異常に早い。戦争当時国の首脳がSNS等を駆使することで現状を伝えているから。さらに国民からも続々とリアルな投稿が世界中に配信されることで、報道機関の役割も見えなくなっている。そうなってくると既存メディアにできることは、保護されているイデオロギーに忖度することだけ。その典型的なのがロシア国内のメディア。
もちろんデマ情報も飛び交っているし、陰謀論者や特定の組織に翻弄された人たちによる洗脳情報も垂れ流し。そんな人たちは、大勢の市民が惨殺されている画像や動画を見ても信用しない。とにかく戦争の当事国を含めた大勢の人たちが、情報戦を有利に進めようとしている。
客観的に見ていると、情報戦に関してはウクライナの圧勝。ロシア側の情報は嘘と欺瞞に満ちていて、ソ連時代からの隠蔽体質が顕著になっている。先日も駐日ロシア大使館が発信したツイートが、まったく関係ない過去の紛争の画像を貼り付けたものだと暴かれていた。写真を撮影した当事者に指摘されているんだから、笑うしかないお粗末な状態。
一方ウクライナの発進する情報は、とても効果的に機能しているように感じる。ゼリンスキー大統領は各国の国会でオンラインによる演説を実施したり、国連でも同様に演説している。さらに衛星画像等の明確な証拠を提示しつつ、ロシア兵が行った市民虐殺の事実を公表している。
そんなウクライナの情報戦を指揮しているのは、まだ31歳の閣僚とのこと。
情報戦でロシアを圧倒する31歳の閣僚 「ウクライナのオードリー・タン」の呼び声も〈AERA〉
その人はウクライナの最年少閣僚であるミハイロ・フェドロフ副首相。ロシアによるウクライナ侵攻の開始3日後には、メッセージングサービス「テレグラム」で志願制のIT軍「IT ARMY of Ukraine」というチャンネルを開設。世界から、30万人以上が参加しているそう。
ロシア企業やロシア政府のサーバーに負荷をかける攻撃を指揮したり、インターネット回線のサポートーをイーロン・マスクに彼が直接依頼したそう。ゼレンスキー大統領の友人で、大統領選挙のときもSNS発信はフェドロフ氏が仕切っていたらしい。
ウクライナのオードリー・タンと呼ばれて当然だろう。オードリー・タンは台湾の頭脳で、コロナが世界に猛威をふるったとき、オードリーが敢行したネット政策によって台湾国民の感染防止が徹底したことで知られている。
現代の情報戦に勝利するためには、こうした若い世代が前線で活躍することが肝心。そう思って日本を省みると……。
かなり不安になってしまう。マイナンバーカードで健康保険証が使えるようになるまで、かなりの時間を要しているくらい。行きあたりばったり感が拭えなくて、長期的な視野が欠けているようにしか思えない。とてもじゃないけれど、世界を相手に情報戦を戦える状態じゃないという気がする。
少なくともIT関連には若い世代を思い切って投入しないと、日本は取り返しのつかない情弱国になってしまうと思う。
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