戦争抑止力としての国家連携
ロシアによるウクライナ侵攻は、戦争の愚かさを世界に伝えると共に、戦争抑止力としての国家連携が改めて注目されるきっかけになっている。
犬猿の仲だったトルコとギリシャが協力してウクライナ支援に動いたり、これまでNATO加盟に慎重な態度を見せていたノルウエーとフィンランドの加盟が現実味を帯びてきた。
そうなってきたのはウクライナの惨状を目にしたからだろう。もしウクライナがNATOに加盟していたら、ロシアはここまでのことはできなかったはず。それだけにNATO加盟を求めたウクライナを全力で叩きにきた。北欧諸国がNATOの加盟を検討するのは当然だと思う。
視点を変えて東アジアに注目すると、ロシアだけでなく中国という軍事大国の存在が目につく。日本の外交の基本は、2カ国による同盟というもの。諸外国と個別に手を結ぶことで、自国の安全を図ろうとしている。
だけどロシアによる蛮行を目の当たりにして、日本もNATOのような国家連携による自衛というものを考える時代になってきたと思う。そのことを指摘した、とても勉強になる記事を読んだ。
プーチン・習近平に悩まされる岸田政権が「AUKUS」に参加すべき三つの理由
リンク先の記事を読んでもらえば詳細はわかるけれど、ボクの勉強を兼ねてポイントをまとめてみようと思う。米・英・豪の3ヵ国が、インド太平洋地域の安全保障の枠組みである「AUKUS(オーカス:Australia・United Kingdom・United Statesの頭文字)」というものを組織しているそう。
非公式だけれど、この国家連携に参加するよう日本政府に打診が来ているらしい。官房長官は否定しているそうだけれど、もし事実なら参加するべきだというのがリンク先の記事の意見。その理由が3つ上げられている。
(1)『日本が参加することによって、NATO加盟国である英国を交えたアジア・太平洋地域における新たな集団安全保障の枠組みが構築されることにつながり、米・英・豪・日の軍事面における協力はさらに強固なものとなるということである』
中国とロシアに対抗していく枠組みを構築するため。NATO加盟国であるイギリスが参加しているので、抑止力としての価値は高いという理由。
(2)『NATO加盟国を交えたアジア太平洋地域における新たな安全保障の枠組みに(ロシアに北方四島を不法占拠されている)日本が加わることは、ロシアの軍事的脅威が差し迫っているフィンランドやノルウェーなどのNATO加盟を後押しすることにつながる』
これもよくわかる。北方領土問題でロシアとの確執を抱える日本の参加によって、北欧諸国の決断を促す作用があるように思う。
(3)『このAUKUSへの参加によって、豪・カナダ・ニュージーランド・英・米の5ヵ国によって締結されている情報協定である「UKUSA協定:United Kingdom – United States of America Agreement(ファイブ・アイズ)」への加盟が現実味を帯びてくるということである』
この3つ目の理由が最大の利点かもしれない。ウクライナがロシアの攻撃に対して予想以上に抵抗しているのは、情報戦を牛耳っているからだと思う。ファイブ・アイズという協定の存在は知らなかったけれど、これからの時代を考えるのなら絶対に参加するべきだと思う。
この記事の著者が現役の自衛官だったとき、アメリカへの情報共有を求めると、このファイブ・アイズが壁になって必要な情報が得られないことがあったそう。つまり現状では日本にとって必要な情報が得られない場合が出てくるということ。
実際に日本政府がどうするのかわからない。でももし参加を打診されているのなら、早急に検討するべきだと思う。誘ってもらっているうちが花だろう。もちろんこうした枠組みが世界の緊張状態を高めることで、世界戦争になるという危険性も考えられる。だけど現状においては、戦争抑止力としての意義があると思う。とても勉強になる記事だった。
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