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高羽そらさんインタビュー

辛すぎる心神喪失者の不起訴

ボクが以前から違和感を覚えている法律がある。それは殺人加害者の責任能力の有無。心を病んでいるという鑑定結果を受けることで、人を殺しても不起訴になる。そして病院に収容されたのち、治療が終了したと見なされた段階で社会に戻ってしまう。

 

法律が有する意味は理解できる。でもどうしても感情的に納得できない。殺された被害者はもちろん、遺族たちの苦悩を思うと本当にやりきれない。もちろん普通に起訴されて加害者が終身刑や死刑になったとしても、遺族にとっては殺された家族は二度と戻ってこない。それはわかっているけれど、不起訴で罪に問われないという事実を突きつけられると、遺族は怒りの持って行き場を完全に見失ってしまうと思う。

 

こうしたことに苦しんでいる人は多く、ある記事を読んで言葉にできない憤りを覚えた。

 

心神喪失だからといって、息子を殺した男を社会から消し去っていいのか 父の苦闘

 

リンク先の記事は息子を殺された父を取材したもの。障害者支援施設に勤める35歳の男性が、38歳の入所者に包丁で滅多刺しにされて殺された。加害者は統合失調症とアルコール依存症を患っていて、22回もいろんな病院で入退院を繰り返していたそう。

 

「死ね、死ね、死ね」という声が聞こえていたので、被害者を殺して自分も死のうとしたらしい。ただ包丁を用意して待ち構えていたことで、被害者の父親は計画的な殺人だと主張した。だけど精神鑑定の結果、責任能力がないと判定。検察は不起訴にした。

 

加害者はすでに退院していて、社会復帰しているらしい。ところが被害者の父親には加害者の情報が一切提示されない。「医療観察法」というものがあって、加害者と遺族が接触できないように決められている。

 

さらに起訴されなかったことで、この事例は殺人事件だと認定されない。裁判が実施されなければ、事件に関する証拠を開示請求することも無理。そのうえ被害者の会等の支援案内も受けることができず、被害者の父親に対する社会的なケアはまったくない。これはさすがに酷すぎる。

 

この記事で紹介されている父親の行動によって、ようやく法律の一部が改正された。記事から抜粋してみよう。

 

『法務大臣への要請書提出がきっかけとなり、2018年6月25日、医療観察制度の対象者についての通達が出された(法務省保総第162号)。主な内容は、被害者等が求めた場合に、《対象者の氏名・処遇の段階・担当保護観察所の名称・地域処遇中の接触状況(ケア会議の回数)》を提供することができるというものだった』

 

これが限界らしい。心を病んでいる人を守るという主旨はわかる。だけど被害者の遺族に対して、あまりにも現状の法律は理不尽すぎる。映画やドラマでもよく扱われる題材だということは、それだけ現状の法律に疑問を抱いている人が多いということだと思う。

 

もしボクの家族が殺されて、加害者に責任能力がないと判定されたどうするだろう? 

 

想像したくないことだけれど、ボクは復讐の鬼と化してしまうだろうと思う。自分の怒りを制御できる自信がない。地獄に落ちてもいいから、全財産を使ってでも加害者を見つけ出して責任を取らせる。相手が心の病気だとわかっているし、本当に気の毒だと思う。だとしても自分の凄まじい怒りが、加害者に対する歩み寄りを見えなくしてしまうような気がする。

 

こうした事例に関して、政府は被害者遺族の心のケアを本気で進めていかないと、さらなる悲劇が起きると思う。人を殺しても責任を問われない人がどこにいるかわからない。それがいまの社会だということ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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