痛みは本人しかわからない
いやぁ〜今日の『おかえりモネ』は神回だったなぁ。ようやくモネと菅波先生のラブーシーンが見られてホッとした。といっても菅波先生がモネを抱きしめただけなんだけれど、それでもかなりの進歩。ずっとモヤモヤしていたから、ようやく変な緊張から解放されたwww
坂口健太郎さん演じる菅波先生が、医者として発言された昨日のセリフが心に残っている。患者さんの痛みは本人にしかわからない。そしてそれは心の痛みも同じじゃないだろうか、というようなセリフ。
本当にそう思う。他人が見れば大したことないと思うことでも、人によっては食事が喉を通らなくなるほど辛いことってあるはず。心の痛みというのは、絶対的な数値で表せるものじゃない。それがどれほど辛いことか、体験している本人にしかわからない。ボクたちはそのことを自覚するべきだと思う。
今日、菅波先生がモネを抱きしめながらいった。あなたの痛みはわからないかもしれない。だけど理解できるよう努力する、と。そうした歩み寄りこそが、相手に対する思いやりであり、愛なんだと思う。わかったフリをすることじゃない。
ある本を読んで、同じようなことを感じた。
2021年 読書#83
『Ai 愛なんて 大っ嫌い』冨永愛 著という本。日本人ながら世界のトップモデルとして活躍された冨永愛さんの自伝本。たまたまAmazonで見つけて読んでみたけれど、ストレートな感情で綴られた文章に魅了された。
冨永さんの父親は彼女が幼いころに家を出て、母子家庭で育った。母親は奔放な人で、父親の違う姉妹と暮らしていた。裕福でなかったというより生活するのがギリギリの状態だった。そして何より彼女を苦しめたのが身長の高さ。
それゆえかなりひどいいじめを受けた。背が高いくらいでどうよ、という人があるかもしれない。だけどその人の心の痛みは、本人にしかわからない。この本を読んでいる限り、冨永さんが受けたいじめはかなり悪質なもの。
ところが彼女の反発心はすごい。自分をいじめた連中に対して、「ぶっ殺してやる」という気持ちで生きてきた。たまたま姉が投稿した読者モデルに採用されたことで、母の反対を押し切ってモデルの仕事を始める。生活のためにお金が必要だった。稼いだ収入は家に入れた。
だけど高校になってもいじめは続く。モデルをしていることで、さらに攻撃される。その度に「ぶっ殺してやる」と心で呟きながら前に進んだ。やがて実力が認められて18歳でニューヨークに拠点を置く。
そこで待っていたのは、人種差別といういじめ。アジア人モデルに対する差別は過酷で、その当時のトップモデルにアジア人はいなかった。そこでも彼女は「ぶっ殺してやる」と心で叫びながら欧米人の差別に耐えてきた。そしてアジア人として初めてのトップモデルの境地に到達する。
短い文章だけれど、他人の手を借りずに書いたのがわかる。だから心情がストレートに伝わってきた。その後にモデルを引退する際の心情や、シングルマザーとして息子との関わり、父親との再会等、現在の冨永愛さんへと至る過程が記されていた。
この本を読んで彼女に対して好き放題言う人はあるだろう。そんな程度のいじめや差別はどこにでもある、と。だけど最初に書いたように、その痛みは本人にしかわからない。もし自分が同じ立場になったら、彼女のように反骨心を持てるかどうかは誰にもいいきれないだろう。
名前しか知らない人だったけれど、この本を読んで好感を持った。繊細だけれど、強くてかっこいい女性だと思う。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。