桶狭間の戦いの解釈に好感
歴史上の人物でボクがもっとも関心を持っているのは織田信長。彼の魅力を語るとキリがない。もちろん戦国武将なので残虐だし、比叡山や本願寺という既存宗教に対する異常なほどの敵対心には賛否が分かれるだろう。もちろんきちんとした理由があっての行動だけれど。
だけど実力のあるものを身分に関わらず召し抱えたり、無益な関税を廃して経済を活性化させるというような、現在に通じる政治感覚を持つ人物でもある。
そんな織田信長に関する出来事で真偽について議論されるのが『桶狭間の戦い』と『本能寺の変』の二つ。どちらも謎の部分が多く、歴史家や歴史ファンを巻き込んだ多くの推測が飛び交っている。そのうちのひとつである『桶狭間の戦い』に関するドラマが放送された。
2021年 映画#50
『桶狭間 OKEHAZAMA〜織田信長 覇王の誕生〜』という2021年3月26日に放送れたドラマ。映画じゃないけれど、2時間以上の作品なので映画にカウントしておいた。
織田信長を演じたのは写真の市川海老蔵さん。本来は市川團十郎襲名の記念として昨年に放送される予定だったけれど、新型コロナウイルスによる襲名の延期で今年になって公開となった作品。
海老蔵さんの長男で8代目市川新之助を襲名する予定だった堀越勸玄くんと、舞踊家として市川ぼたんを襲名している長女の麗禾ちゃんも出演している。
信長の正室である濃姫を演じた広瀬すずさんが主な語り手となり、『桶狭間の戦い』を描いたという内容。戦いの当日から勝利までが時系列で進みながらも、信長と濃姫の幼少時代からいまに至るまでの物語が挿入されている。
信長ファンで、かつ市川海老蔵さんのファンでもあるボクにとっては、どう考えても楽しみしかないないドラマ。最初から最後まで、あっという間に時間が過ぎてしまったほど集中した。
先に気になった部分だけ書いておくと、海老蔵さんのセリフ回し。市川團十郎襲名記念作品ということもあってか、歌舞伎調のセリフがドラマとそぐわないように感じてしまった。というのは他の出演者の人は歌舞伎役者じゃないから、全体として海老蔵さんが浮いてしまう。その部分だけは、どうしても最後まで馴染めなかった。
でもそれ以外は満足。特に気に入ったのは『桶狭間の戦い』の解釈。
一般的な解釈によると、増長した今川義元が油断の末に討ち取られたというものが多い。だけど彼は当時の偉大な大名だった。血筋だけでなく、それだけの実力を持っていたはず。だからそう簡単に慢心するとは思えない。
このドラマでも、今川義元は織田信長の奇襲を読み取っていた。ただいつ、そしてどこで仕掛けてくるかわからない。その駆け引きがこのドラマの中心になっていて、両雄の熾烈な心理戦を楽しませてもらえた。
織田信長が今川義元へ向かって語るセリフがある。今川義元の顔を見ることができたら自分の勝ち。もし会えなかったら自分の負けだという内容。その部分に焦点が当てられていたことで、武将同士の真剣勝負としてドラマがいい雰囲気になったと思う。織田信長自らが今川義元に手をかけたシーンは余計だと思うけれどねwww
さて、海老蔵さんの襲名はどうなるのかな? 以前のインタビューによると、演目に決まりがあるので今年の襲名は無理だとのこと。せめて来年には襲名公演ができたらいいよなぁ。
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