人間の本質は二千年前と同じ
今日で1月が終わりだなんて信じられない。ついこの前に新年を迎えたと思ったのに、もう明日から2月だなんて。とにかく時間の経過が早すぎて、なんとなく落ち着かない。
そう思っているのは、ある本を読んでいるせいかもしれない。900ページもある大作で、図書館で次の予約が入っているので期限延長もできない。隙間時間を見つけては必死で読んでいるから、余計に時間が足りないという感覚に囚われているのかもしれない。
そんなときにオススメの本を紹介しよう。その本を読んだからといって、時間に余裕が生まれることはない。むしろかえって焦るかもしれない。
だけど同じ時間を生きるのなら、より有意義に過ごすべき。そのことを教えてもらえる良作だった。
2022年 読書#11
『人生の短さについて 他2篇』セネカ著という本。セネカというのは、古代ローマの哲学者。紀元前1年から起源65年まで生きた人なので、イエス・キリストと同時代の人らしい。つまりこの書籍は哲学書ということになる。
だけど小難しい哲学書とちがって、生活に密着した実践的なことについて書かれている。だから哲学に興味のない人でも読めるし、どちらかといえば自己啓発本に近い内容だと思う。この書籍に3つの作品が収録されている。
『人生の短さについて』
『母ヘルウィアへのなぐさめ』
『心の安定について』
どの作品も、特定の誰かに送った書簡のような構成になっている。タイトルからわかるように、2作目はセネカが母に伝えたいことを記したもの。古代ローマ時代の人が書いたとは思えないほど、二千年後のボクにもストーレートに伝わってくる内容だった。
人間なんて本質的に何も変わっていないということだろう。科学が進化しても、人間固有の悩みや苦しみは同じ。だから現代の人が読んでも、この作品に共感できるんだと思う。
ただ中年以降になってこの書籍、特に『人生の短さについて』を読むと、最初はなんとなく居心地悪い気持ちになってしまう。なぜならマジで人生の短さを実感してしまうから。人間がいかに無駄なことに時間を費やしてきたかを、二千年前の著者によって思い知らされる。
セネカが言っていることはまさに正論。過去を参考にしつつも、まだ来ない未来に振り回されるのは無駄。大切なのは『今を生きる』ということ。過去や未来にばかり意識が囚われることで、時間を浪費してしまう。それゆえ『今』に費やす時間が減ってしまうということ。
だから常に自分が何を感じ、何を見て、何を聞いているかを自覚する。現代の言葉で言えばマインドフルネスという考え方だろう。これは瞑想にも通じている。無意識で過ごすことほど、時間の無駄はない。そして気がついたとき、人生の短さに愕然としてしまう。
意識的であることで、より密度の濃い時間を過ごすことができる。同じ24時間でも、無意識の人に比べたら数倍の価値が出てくるはず。セネカはそのことを知って欲しくて、この文章を書いたんだろうと思う。もし時間が足りないと感じている人がいたら、一度この本を手にしてみるべきかも。
それにしても時間が足りないwww 頑張って900ページを読破しなくては!
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。