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高羽そらさんインタビュー

死刑執行と日本人気質

ボクは死刑制度に反対の立場を取っている。世界的に死刑は廃止される方向で、死刑が残っている国のほうが少なくなってきた。

 

といっても被害者の家族たちの気持ちに立てば、極刑を望む気持ちは理解できる。死刑に反対しているボクだって、身近な人が被害に遭えば考えが変わるかもしれない。


ボクが死刑に反対なのは、冤罪が完全に排除できるとは思えないから。あるいは国家が全体主義的な政治体制へと移行した場合、死刑の存在が恐怖政治を主導していくことになると思うから。

 

とにかく日本には死刑が存在している。つまり死刑を執行する人がいるということ。どのように死刑が実施されるのかについて、知られているようで多くのことが隠されている。刑務官には守秘義務があって、死刑執行について話すのはタブーらしい。

 

そんな死刑について、法的に許容されているのであろう情報が書かれた本を読んだ。それでもかなり驚くものだった。

 

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2022年 読書#101

『刑務官が明かす死刑の話』一之瀬はち 著という本。漫画なんだけれど、死刑の実態がくわしく書かれていて勉強になる内容だった。刑務官の話として進められているの、おそらく守秘義務に反しない範囲での情報だと思う。

 

日本の死刑に関して知られていることとして、当日の朝にならないと死刑執行が死刑囚に伝えられないということ。これは死刑囚にとって最大の恐怖だろうと思う。今日か明日かという想いに囚われ、想像を絶するストレスだろう。

 

アメリカでは死刑廃止が増えているけれど、一部の州では死刑が存続している。でもアメリカの場合、事前に執行日が告知される。だから死刑囚には最後の晩餐に関して希望が叶えられるという習慣が残っている。だけど日本はその日の朝に執行を告げられるので、最後の晩餐がいつになるかはわからない。

 

その日に執行が伝達されるのは死刑囚だけでなく、現場にいる刑務官も同じとのこと。これは驚いた。事前に死刑囚に情報が漏れることを防ぐため、死刑執行のボタンを押す刑務官にも当日にしか伝えられない。だから刑務官もある種のストレスを感じているはず。

 

刑務官が死刑執行に際して押すボタンは複数あって、誰が押したものが本当のスイッチなのかはわからないようになっている。そして死刑執行に関わった刑務官には特別手当が支給されるそう。ただしこれには不文律があって、その日のうちに使ってしまうように指導されるとのこと。これはなかなか興味深い。

 

ストレスのかかることなので、飲み食いして忘れるという意図だろう。でもそれだけではなく、手当が人間の死に関わったものだということに、その指導の本質があるような気がしている。

 

日本人には古くから『穢れ思想』というものがある。

 

2回目の『源氏物語』を読んでいる最中なんだけれど、よく出てくるのが身内に死者が出た場合の貴族の行動。『穢れ』と称して、一定の時期までは宮中に出仕しない。公の場に出ることも控える。死者に対する供養という意味合いだけでなく、『死』に対する日本人独特の思想から来たものだと思う。

 

それゆえ現代においても、死刑執行のボタンを複数設けることで特定の人物に『穢れ』がつかないように配慮しているのでは? 手当もすぐに使うように指導されれるのは、『穢れ』に由来するお金を手元に置いておかないという意味があると思う。

 

とにかく知らないことばかり書かれている漫画で、なるほどと思うことが多かった。死刑執行日が隠されていても、死刑場を管理している特別任務の刑務官たちがいる。彼らが死刑場の清掃を始めるだけで、死刑執行が近いと刑務官たちで噂になるらしい。

 

そしてボクが知らなかったこととして、死刑場の存在する拘置所が世間に公表されていないということ。すべての拘置所に死刑場があるわけではない。だから死刑執行場所が特定されるのを防ぐため、どの拘置所に死刑場があるかは隠されているとのこと。これも『穢れ思想』の影響があるように思う。

 

死刑執行ということに関しても、日本人気質が影響するのを感じた書籍だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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