鮮やかな伏線回収に興奮した
昨晩にある小説を読了して、思わずXにポストした。といってもその本の内容がミステリ小説だけに、犯人の名前を叫ぶわけにいかない。もちろんトリックも明かせない。だから何を書いていいのかわからず。ひたすら興奮しているだけだったwww
その小説はいわゆる本格ミステリと呼ばれる分野で、密室殺人を中心とした推理小説。著者と読書の知恵比べとなる作品がほとんどで、真犯人を確定させる全ての材料を提供したのち、著者が読者に挑戦状を出すというパターンが多い。久しぶりに本格ミステリを読んだけれど、度肝を抜かれる素晴らしい作品だった。
2023年 読書#79
『硝子の塔の殺人』知念実希人 著という小説。著者の名前を知ったのは、作家としてより医師としての彼の方が先だった。コロナ禍で様々な意見が飛び交っていた時、医師の立場を知るためにTwitterをフォローしたのが始まり。つまり著者は医師として働きながら、作家としても活動されている。
それゆえこの作品は、医師ならではの記述がいくつもある。それだけにリアリティがあり、記述にも説得力がある。それ以上にボクが凄いなと思ったのは、複雑に絡み合った伏線が随所に張られていること。そしてそれらの伏線が、物語を通じて完璧に回収されている。
特に最終章は圧巻だった。一度は事件が解決して、普通の推理小説なら終わりという雰囲気。でもそこからがこの物語の本題だったという構成。まだ2年前の作品なので、これから読む人もいるだろう。だからネタバレは絶対にしないのでご安心を。
大まかな状況だけ書いておこう。神津島という大金持ちが硝子の館を建てた。そして個性的な人物を招待した。それはある発表をするため。
招待されたのは、医師、探偵、霊能力者、小説家、編集者、刑事。さらに使用人として執事、メイド、料理人がいる。館の主人を合わせて10人。
物語の主人公は医師の一条遊馬。彼には神津島を殺したい動機があった。それゆえ冒頭でいきなり毒殺してしまう。もちろん医師なので、病死に見せかけようとした。ところが想定外のことが起きる。月夜という女性探偵の登場で、遊馬の思惑は崩されてしまう。
そのうえ引き続き殺人が起きた。2番目に殺されたのは執事。そして次に殺されたのはメイド。もちろん遊馬が手にかけたのは神津島だけ。ということで連続殺人犯を探すため、遊馬は探偵の月夜をサポートすることにした。目的は執事たちを殺した犯人に神津島の殺人容疑を押し付けるため。
硝子の館は山奥で、途中の道が雪崩によって警察が3日先まで来られない。完全に孤立した硝子の館で、月夜と遊馬の捜査が展開されていくという物語。
この物語は油断できないよ。次々と想定外の出来事が起きるので、真犯人にたどり着くのは難しい。ボクは早々に断念してひたすら先を読んだ。そして事実を知ってひっくり返るほど興奮したというわけ。推理小説好きの人なら絶対に楽しめる作品。自信がある人は、著者の挑戦を受けてみてほしい。
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