『ビートルズ』という社会現象
明日に新元号が発表されるけれど、同時に元号が変わると思っている人はいるんだろうな、と思っていた。つまり3月31日が平成最後の日だとかんちがいしている人。まぁそれでも、少数だろうと想像していた。
だけどその数は思ったより多く、FacebookやTwitterのタイムラインにもかなり流れてきて笑ってしまった。ワザと言っている人もいるので定かじゃないけれど、今日が平成最後だと思い込んでいる人は結構多そうだよねwww
まぁそれほど珍しい出来事だということ。昭和から平成を経験しているボクたちは、元号の変更は<いきなり感>が強い。だから今回のように余裕があると、混乱するんだろう。年度始めでなく、5月1日という変更日も誤解を生みやすい事情だろうね。
でもある意味、ボクたちは時代の目撃者ということになる。今年の5月以降に生まれる人は、過去の出来事としてしか知ることはできない。その代わり、新元号以降の生まれの人しか体験できない、時代の目撃もあるだろう。
つまりどんな時代であっても、その世代なりに歴史を目撃する、あるいは体験できると思う。昨日、とある映画を観ていてそう感じた。
『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』(原題:EIGHT DAYS A WEEK-The Touring Years)という2016年の映画。
若い世代の人でも、ザ・ビートルズという名前は知っているだろう。そういうボクだって、ビートルズ世代じゃない。本格的に洋楽を聴きだしたのは1974年ころだから、その4年前にこのバンドは解散している。
だからボクにとってビートルズはポール・マッカートニーであり、彼が当時結成していたウイングスというバンドになる。このバンドを起点として時代をさかのぼり、ビートルズのアルバムを聴くようになった。
だからビートルズというバンドに関して、歴史の目撃者ではない。だけどボクなりのビートルズ像というものがあって、彼らについて多くの本を読み、あまたの映像を見ている。数年前には、ポールが記した自叙伝も読んでいる。
そんなボクでさえ、この映画はとても新鮮に感じた。なぜならビートルズの成功を追いつつ、社会との関わりに重点が置かれていたから。このバンドが起こした社会現象を、これまで作られたドキュメントとはまったくちがう視点でとらえていた。だからめちゃめちゃ面白かった!
それゆえビートルズがライブをやめ、スタジオにこもってからの歴史はさらっと流されている。ボクのような解散後のビートルズオタクは、その時代のほうがくわしい。ブライアン・エプスタインというマネージャーが死んだことで、このバンドは空中分解していく。
でもこの映画ではそんなことまったく触れていない。『レット・イット・ビー』という映画とアルバムで使われている、アップルレコード社の屋上で演奏したライブをエンディングで紹介しただけ。でもこの映画はこれでいいと思う。
メンバーのインタビューは興味深いし、未公開映像もかなりあったと思う。悲しいのはポールとリンゴのインタビューは初老の彼らなのに、すでに他界しているジョージは中年近くで、ジョンにいたってはまだ青年のような姿だったこと。それが切なかったなぁ。
女優のウービー・ゴールドパークとシガニー・ウィーヴァーのビートルズ体験は最高だった。シガニーなんて、コンサート会場にいたまだ少女のような写真が紹介されていた。
映画の冒頭にあったポールの言葉が印象に残っている。
「僕たちはいきなりスターになったんじゃない。ずっと努力を重ねてきた結果なんだ」というようなことを言っていた。ハンブルグ時代のビートルズを知っている人なら、この言葉にうなずけると思う。あぁ、だめだ、ビートルズを語り出すと止まらなくなる。
とにかく今までにない最高のドキュメントだったと思う。ビートルズが1960年代にどのような社会現象を起こしたかを知らない若い人たちには、ぜひ観て欲しい作品。きっとぶったまげると思うよ〜!
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