僕の敗北感と諦念の先にあるもの
後悔のない人生なんてありえない。どんな人でも過去をふり返ったとき、ああすれば、こうすれば、と思うことの一つや二つはあるだろう。
特にボクのように50代にもなると、人生の終盤が見え隠れする。だから過去と折り合いをつけないとやっていけない。後悔することはあったとしても、とりあえずは全力を尽くしてきたんだ、と考えるようにしている。でないと前に進むことができない。
でも時々、そんな切実な想いを散々に打ち砕かれることがある。いまさら遅いんだよ、という言葉を叩きつけられるように感じる。それは若い人に向けて書かれた、優れた書籍を読んだとき。
『死ぬこと以外かすり傷』箕輪厚介 著という本を読んだ。
箕輪さんは幻冬舎の編集者。元々は双葉社で編集をされていたけれど、幻冬舎の社長である見城さんの書籍を手がけたことがきっかけで、幻冬舎に移籍されている。
ボクはSNSを通じてその経緯を外野として見ていたし、幻冬舎に移籍してから次々とベストセラーを生み出している彼の活躍をリアルタイムで目の当たりにしている。そんな箕輪さんのこれまでの経緯や、考え方をまとめた書籍になっている。
知らないことも多かったので、とても興味深く、そして強い刺激を受ける内容だった。すでに10万部を超えるベストセラーになっている。面白いのはこの本が幻冬舎ではなく、別の出版社から出されていること。見城さんが、「どうしてうちの会社から出さないんだ」とぼやいておられたのがおかしかった。
10代から30代の人なら、ぜひこの本を読むべき。ボクがその時代にこの本を読んでいたら、人生が変わったかもしれない。だからその世代に子供がいる人は、ぜひ勧めてあげるべき本だと思う。
だけど40代から50代の人がこの本を読むのはキツイよ。自分の過去の人生を思い返して比較すると、そこにあるのは敗北感だけしかない。どうしてあんな無駄に若い時代を過ごしてきたんだ、と自分のことをなじりたくなる。
そして次にやってくるのが諦念。それなりに精一杯やってきたんだから仕方ないよ、という自己憐憫の気持ちに襲われる。それはそれで、かなりみじめな気分になる。取り戻せない時間ほど辛いものはない。
だけどそんなことを言っていても仕方ない。敗北感と諦念から逃げず、それを認めるしかない。そのうえで『今』の自分ができることに邁進するだけ。辛くて苦しいけれど、未来の自分にいまのボクと同じ想いをさせたくない。
50代のころにもっとやっておけば、なんて言葉を未来のボクに吐かせることだけはしたくない。そう思って前に進むしかない。若い世代の人にはオススメの本だけれど、ボクのように敗北感と諦念の先にあるものを感じたい中年の人は、この本を手にしてはいかが?
箕輪さんという人は素晴らしいと思う。こんな編集者に声をかけてもらえるような物語を書かなければいけない。本気でそう思う。
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