プロセスエコノミーに非対応
最近はビジネス書や自己啓発本をあまり読まなくなった。1冊でも多く小説を読んで、そこから何かを得たいと思っているから。小説を追いかけているだけで、いくら読書時間があっても足りない状況になっている。
それでも世間でベストセラーになっている本は気になる。ということで今年になって話題になっている本を読んでみた。
2021年 読書#101
『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』尾原和啓 著という書籍。
ベストセラーになっただけあって、たしかに面白くて興味深い内容だった。的確な事例も検証されていて、説得力のある構成になっていた。プロセスエコノミーというのはその言葉が表すとおり、結果としてのアウトプットではなく、その制作過程から顧客を取り込んでいこうという発想。
ボクたちの世代が子供だった高度経済成長時代は、あったらいいな、という想いが現実に追いついていなかった。それゆえ他社より優れた商品を作ることで、大勢の顧客を獲得することができた。経過ではなく結果がすべて。家電も自動車も、より素晴らしい商品を開発した企業の勝利だった。
いわゆる『ウイナー・テイクス・オール』という勝者総取りの時代。より早く、より性能の高いものをアプトプットした企業が売上を伸ばしていった。
だけど現在は多くの人の需要が満たされている。iPhoneの新製品が出ても、GalaxyやXperia等の商品が競合してくる。いい商品を作ったからといって、必ずしも売れる時代じゃなくなってきた。それゆえプロセスエコノミーという発想が意味を持ってくる。
それは顧客の共感を『売り』にするというもの。同じレベルの商品が複数ある場合、思い入れの強い商品を手にするだろう。だから制作過程から顧客を巻き込んでいくことで、クリエイターの『想い』を共有していこうとする考え方。それゆえアウトプットのリリースと同時に一定数の購入者が見込めることになる。
ボクはこの本を読んでその主旨に賛同するし、この発想こそが時代にあったものだと感じられた。むしろプロセスエコノミーを意識しないと、これからの商品は売れないじゃないかと思った。
ただボクが書いている小説の場合、この発想を適用するのが難しい。なぜなら書いているボク自身がプロセスを把握していないから。常にカオス状態のなかで筆を進めているので、明日書くことが今日の段階で読めないことがほとんどwww
いま書いている新作小説がまさにそんな状態。大まかなプロットとテーマは決まっている。ところが書いているうちに、それらが微妙に変化してくる。気がついたら当初のプロットとかけ離れていたり、テーマが大幅に変更していることがある。
キャラが動き出すことで、物語の展開が読めなくなってくる。そして直感や思いつきで急に方向が変わることも日常。書いているボク自身が見えない未来に当惑してのたうち回っている。だからそんなプロセスに他者を巻き込むことは、どう考えてもできない。
まぁそう感じるだけ、ボクは古い人間なのかもしれないね。小説に関していえば、結局は孤独のなかでもがいていくしか作品はできない。せっかく読んだけれど、この本の主旨を生かせそうにないなぁ。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする