街全体の有料化はアリかも
コロナ以前の日本では、観光地に大勢の外国人観光客が押し寄せた。京都では住民が市バスに乗るのにさえ苦労したり、祇園では舞子さん等に対する観光客のマナーの悪さが問題視された。ゴミや落書きという具体的な被害もある。
ところがコロナ禍で観光客が激減したことで、京都では閑古鳥が鳴いている。静かになっていいという意見もあるようだけれど、観光で食べている人にすれば死活問題だろう。こうなってしまえば、観光客で大変だったころが恋しいだろう。でもそんな想いは、コロナ禍だけのものかもしれない。
すでに観光客が復活しているところでは、押し寄せる観光客たちに閉口している。
それはイタリアのベネチア。コロナ禍によって一時期は観光客が途絶えた。地元の人たちは静かな自粛生活を送っていた。だけどワクチン接種が進み、渡航制限が解除されたことで以前のように観光客が押し寄せている。
いまでは毎日8万人がベネチアの街を訪れている。コロナ以前のように街は人であふれ、ゴミ等の問題が再発している。もちろん観光で成り立っているベネチアだから、経済的には歓迎すべきことだろう。だけどそのメリットを手放したくなるほどの状況らしい。そこである計画が発表されている。
なんとベネチアの街全体に「入場料」を課すというもの。記事から抜粋してみよう。
『地元住民やその家族、6歳未満の子ども、同市のホテル滞在者など入域料が免除される人以外は、季節やその日に見込まれる観光客の数に応じて3~10ユーロ(約400~1300円)を支払う。観光客はウェブサイトかアプリでチケットを購入し、ローマ広場や電車の駅など主要な入り口に設置された磁気性入場ゲートでQRコードを表示させて入る』
地元住民や長期滞在者を除き、日帰りの観光客から入場料を取ろうというもの。欧州法違反ではという反対意見もあって、賛否両論が飛び交っているとのこと。だけどいまの状況が続けば、導入される可能性が高いらしい。
特定のエリアや建物ではなく、街全体に入場料を課すというのは前代未聞だろう。江戸時代の関所で通行料を取られるような感じ。違和感を抱く人が多いだろうと思う。だけどボクはこの方法はアリかなと思う。
有料化の最大のメリットは、マナーの悪い観光客を排除できるということ。ルールを守らないような人間が限りなく減るはず。そして徴収した入場料で街の景観を維持することができる。お金を払ってくれた人には、より良いサービスを提供できるだろう。やってみたら面白いのになぁ。
さて日本はどうだろう? 尾身さんが会長を務める政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、今年の秋に旅行等の制限を緩和する提言をまとめている。昨日の発表によると、ワクチン接種の完了やPCR検査の陰性証明等によって、自由な旅行やイベントの開催を容認するというもの。
まだ国内向けなので、外国人観光客が殺到するようなことはないだろう。でもいずれベネチアのようなことが起きるかもしれない。変異ウイルスの感染予防やマナーの悪い観光客対策として、地域限定の有料化ということをやってもいいように思う。
例えば京都なら『嵐山』や『祇園』限定で入場料を徴収するというもの。関所や壁があるわけじゃないので、実務上は難しいことが多い。だけどそのことを検討するだけでも、ちょっとした抑止効果と宣伝効果があるような気がする。まぁ、日本では絶対にやらないだろうけれどね。
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