転売ヤーに欠けているもの
安く仕入れて、高く売る。説明するまでもなく、これが商売の基本法則。社会奉仕じゃないんだから、利益を出すためにこの基本法則は必須。
それゆえ転売ヤーと呼ばれている人たちがやっていることは、ルール違反でない限り批判されることじゃないだろう。だけどボクも含めて、転売ヤーに対して怒りを覚えている人は多い。
昨年のマスク不足のとき、最初に仕掛けたのは中国だとしても、それに乗っかった日本の転売ヤーも大勢いた。そんな転売ヤーに批判が集まるのは、彼らに決定的な『もの』が欠けているから。それが何なのか、明確に理解できる記事がある。
持病がある愛猫の治療薬が入手困難で、命の危機に……!! 深刻な「転売ヤー」問題
リンク先の記事は、10万以上のフォロワーを有する愛猫家のインタビューをまとめたもの。我が家のミューナと同じ腎臓病の猫を飼っておられる。腎臓病は完治しない。それゆえ少しでも長生きしてもらうために、薬と療法食は絶対に欠かせない。その両輪で、どうにか腎臓の機能をキープしていけるから。
ミューナの場合も同じ。1日2回の薬と、腎臓病用の療法食によって、どうにか通常の体重まで戻すことができた。そんな生活がまもなく1年を迎えようとしている。彼がこの世を去るまで、同じ日々が続くことになる。
そんな命を支える両輪が、転売ヤーによって危機にさらされているとのこと。この飼い主さんが猫に与えている療法食は、獣医さんで購入されていた。ところがいつものように注文すると、残り在庫が1つだけとのこと。
あわててネットで確認すると、どのサイトもソールドアウトの表示。それがどれほどショックなことなのか、病気の猫と暮らしている人ならわかるはず。その最大の理由はコロナ禍。
コロナウイルスの流行によって、材料の調達が滞っている。そこにコロナ禍によるペットブームで、供給が追いつかない。そんな品不足に目をつけたのが転売ヤーたち。残り少なくなった商品を買い占めることで、多額の利益を得ようとした。その結果、本当に必要とする人に届かないという状況を招いている。
このような事態を受けて、メルカリとヤフオクでは、今年の9月に犬猫療法食の出品が一時停止されることになった。そこまでしないと、昨年のマスク不足のようなことになってしまうと判断したからだろう。
両輪のもう一つである薬も同じ。この飼い主さんは液状の薬を与えていた。だけどその商品が品薄となり、錠剤への変更を余儀なくされたそう。ところが猫ちゃんが錠剤をうまく飲めない。その結果、一時的に入院するようなことになった。ここにも転売ヤーが影響を与えている。
ミューナに関しては、比較的メジャーな薬と療法食なので、ここまでの事態にはならないと思う。だけど定期検診に合わせて必ず3ヶ月分の180錠を獣医さんから購入している。できるだけ手元に貴重な薬を置いておきたいから。
療法食に関しても、最後の1袋になったらすぐに注文。そして1回の注文で3袋は購入している。以前東北の震災のとき、物流が停滞してミューナのキャットフードの入手に困った経験があるから。とにかくできる範囲で、貴重な両輪を確保することを意識している。
だけど転売ヤーにそんな猫の飼い主の気持ちはわからない。彼らは自分の利益を得ることしか頭にない。それがルール違反でなければ、当然の行為だと考えている。たしかに商売の基本法則に外れた行為ではない。
でも商売にはそんな基本法則を超越する『原理』が存在する。その『原理』忘れると、いつか必ずしっぺ返しを受けることになる。
その『原理』とは、他人に喜んでもらえるということ。商売の基本法則だけでなく、その『原理』を遵守した人だけが生き残っていける。転売ヤーが非難されるのは、自分の利益だけを考えて他人の苦しみを理解しているように思えないから。
こんな転売ヤーが存在する限り、彼らを撲滅するべきという主張にボクは賛同するしかない。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする