監視社会のジレンマ
今や犯罪捜査において防犯カメラは欠かせないものになっている。交通事故の原因や、あおり運転の実態も防犯カメラやドライブレコーダーの普及によって明らかにされている。
その一方で、防犯カメラ等によるプライバシーの侵害が問題とされてきた。例えば中国では国民を監視するためにカメラが使われている。要するに監視カメラは使い方次第ということなのだろう。この曖昧さに現代の監視社会のジレンマがあるような気がする。
あらゆる自動車を個別に追跡できる恐るべき公道監視カメラネットワークに対する批判
アメリカのノースカロライナ州では高性能の監視カメラが導入されているとのこと。民間企業が提供しているもので、自動車のナンバープレートや特徴を瞬時に読み込み、日時等をデータベース化することができる。
それゆえ州の内外からデータ提供の依頼があり、犯罪捜査に活用されているとのこと。ただ民間企業が主導していることで、プライバシーの侵害を警戒する人たちから懸念の声も上がっているらしい。
カメラの設置にも恣意的なものが見られ、黒人やヒスパニック系の人が暮らす地域にカメラが多く設置されていたりする。こうした問題はいかにもアメリカという雰囲気なんだけれど、監視社会のジレンマがそのまま具現化しているような気がする。
このシステムが他の州でも導入される可能性が高いそう。なぜなら全米レベルで犯罪者の動向をチェックできるから。でも同時に一般人のデータも蓄積されていく。それらのデータが悪用される可能性がゼロではない。
映画の『メン・イン・ブラック』という作品で、トミー・リー・ジョーンズ演じる主人公が、組織の衛星システムで元恋人の生活をチェックするシーンがある。まさにこれは監視システムの濫用。民間企業が運営している限り、似たようなことが起きる可能性がある。
もっとひどいのは、先ほど書いたように国家が国民の監視に悪用すること。アメリカのNSAのような組織なら平気で使いそうな気がする。けれども犯罪捜査ということに関しては、これほど有効的なものはない思う。
ボクは基本的に監視カメラの導入は賛成。後ろめたい生活をしていない限り、公道におけるカメラの設置はさほど気にならない。犯罪や交通事故の対策としても利用価値が高い。ただ民間企業による利益の独占や、設置に関わる政治家等の利権に利用されるのは納得できない。
どうすればいいんだろうね? ボクには答えが見えない。監視カメラによるデータについて、人間が関与することなく公平に管理できるシステムが構築されたらいいんだけれど。そうなるとAIに任せるのがベストなのかも。でもそれはそれで不気味。
映画の『イーグルアイ』を思い出したら、やっぱりちょっと怖いかも。監視社会のジレンマはなかなか解消できそうにないよね。
<お知らせ>
最新刊の『夢体脱』が全国の書店、並びみAmazon等のECサイトで販売中です。2012年に出版した『夢で会える 体外離脱入門』は、非物質世界の存在に『会う』ことがメインテーマでした。
でも『夢体脱』ではその出会いをどのようにして実生活に活かしていくかをテーマにしています。旧作を読んだ方にも新しい洞察が得られる内容になっています。是非ともよろしくお願いします。
Amazonでは単行本と同時に、Kindleの電子書籍でも購入していただけます。こちらからどうぞ。
ハート出版さんのサイトでも『夢体脱』の概要をご覧いただけます。こちらからどうぞ。
ブログの更新はFacebookページとX、並びにThreadsで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。