選挙はつらいよ
参議院選挙が終わってほぼ1週間。昨日には当選者に当選証書が交付された。
様々なことが話題になった選挙だった。いつもながら選挙後は悲喜こもごもで、当選者は意気揚々と選挙区でお礼と今後の決意を述べ、落選者も同じく選挙区の街に立って感謝の意を伝えていた。
精神的にも肉体的にもボロボロだろうけれど、当選した人はさらなる意欲が燃えたぎっているだろう。だけど落選した人は、もう一度立ち上がるのに大変だと思う。そして落選者の周囲の人たちも、同じ思いを抱えているはず。
そんな選挙に関して、落選者の家族がどんな心境でいるかがリアルにわかる記事がある。
少し長い記事だけれども、最後まで一気に読んでしまった。それほど興味深い内容だった。67歳になる父が、いきなり今年の4月の統一地方選挙で市議会議員に立候補すると宣言した。その娘さんが書いた記事。
これまでコツコツと勤めあげ、定年後もやりがいのある職場に出会った父親。なのにその仕事を捨ててまで、市議会議員に立候補することを決めた。その理由は地域の小学校に併設された幼稚園が閉園になったこと。
地域住民の大半が反対する署名を無視して、市議会が幼稚園の閉園を決めたことが許せなかった。父親の義憤に影響され、周囲の人も議員に出るように勧めた。選挙参謀のような人もついた。素人集団ながら、その思いはピュアで真剣だった。
離れた場所に住む娘も、夫とともに選挙の応援に来ている。うぐいす嬢もやったし、夫と二人で口下手な父に代わって演説もやった。そしてその反応も上々だったらしい。だけど結果は落選だった。
落選の理由を著者は冷静に分析している。結果として無所属で後ろ立てがないことによって、組織票に負けてしまったということ。まぁ、選挙にありがちなことだよね。
でも選挙に負けると、お金の問題だけじゃすまない。人間関係のドロドロとしたものが一気に噴き出してくるそう。選挙参謀をやってくれた父の友人は、負けたことが原因で選挙戦の不満を口にした。そのことがきっかけで、父親の交友関係は完全に破綻してしまった。
アルバイトで雇っていたうぐいす嬢は、候補者の娘、つまりこの記事の著者の態度が悪いと影で言いふらしていたこともわかった。プロがいないことで、組織を一つにまとめていく求心力が持てなかったんだろうね。
結果として著者の実家の両親は、引越しを検討しているそう。立候補したことが原因で、その地域に住んでいることができなくなっているらしい。負けによって失うものはお金や仕事だけじゃないということ。選挙はつらいよ、だねぇ。
この記事の著者が最後に書いている。選挙の結果は仕方ない。政治的信条のちがいを論争するのもいい。だけど落選した人に対して、その人物の人間性を否定するような言葉は発しないで欲しいとのこと。多くのものを失っているのに、追い打ちをかけることになってしまうから。
この記事を読んで、本当にそう思った。法律を守って正々堂々と選挙に出た人に対して、結果はどうであれ誹謗中傷をするようなことはダメ。そんなことをすれば、今後必要とされる人材が失われしまうだけになるからね。
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