食料自給率はトリック
ボクたちは子供の頃から日本の食料自給率が低いと教えられてきた。だからこそ農業が大切だと。そして現代になってもそのことを事実だと認識している。実際に輸入食品は多く、日本は食料の自給に問題があるように思える。
ところが昨日ある記事を読んで驚いた。もしかしたらボクたちは捻じ曲げられた事実を押し付けられてきたのかもしれない。
元農水次官が「意味のない数字」と告白…学校で習う「食料自給率」では農業の実態はまるでわからない理由
このリンク先の記事は一読しておくべきだと思う。元農林水産省の次官が、食料自給率が意味のない数字だと告白しているから。もちろん数字が捏造されているわけじゃない。その算定方法が実態に則していないということ。
日本が発表している食料自給率はカロリーベースで算定されているそう。食物をカロリーに換算して、国民1人に供給される熱量のうち、国内で生産された割合を示すもの。数式にするとこうなる。
『1人・1日当たり国産(県産)供給熱量÷1人・1日当たり総供給熱量』
これで計算すると日本の食料自給率は約40パーセントになり、世界と比較して問題があるということになる。それゆえ農水省としてはもっと農業に力をいれましょうと熱弁をふるう。要するにもっと『予算』が必要だということ。
この数字のトリック解説が面白かった。食力自給率は都道府県単位で計算される。だから各自治体が食料自給率を上げようと思えば、同じコストでも『カロリー』の高い作物を栽培すればいいということ。
それは米や小麦という穀物。野菜や果物はカロリーが低いから。さらにもっと驚くことがある。数式の後半を見ればわかるように、人口が少ない都道府県ほど食料自給率が高く計算される。秋田県は食料自給率がトップクラスの勢いで上昇している。県民はその数字を見れば喜ぶかもしれない。
ところが秋田県の人口減少率は日本一で、従来通りに米を作っていれば自動的に食料自給率が上昇していく。つまり食料自給率は過疎化を証明しているようなもの。だから都道府県の知事たちは、食料自給率など気にしていないそう。カロリーベースの自給率を上げようと思えば、儲からない農業を推奨するしかないから。
このカロリーベースの食料自給率を算出しているのは、日本以外では韓国とスイスだけらしい。だから農水省が他国のとの比較で出しているカロリーベースの食料自給率は、日本がいかに低いかを見せるために『わざわざ』計算しているらしい。その目的は危機感をあおることで、農水省への予算を増やすことかも。
気になって調べてみると、他国と同じように生産高ベースで食料自給率を計算すると、日本は66パーセントという他国に劣らない数字になるそう。その数字で見れば、世界第5位の農業国となるらしい。だから日本はある程度の食料を自給していける実力があるということ。
なんだか子供の頃からずっと騙されていた気分。数字のトリックというのは見抜くのが難しい。食料の自給率を上げていくのは大切。でも実態に則したデータを見ていかないと、意図する方向と違う道へ進んでしまうかもしれない。とても勉強になる記事だった。
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